「パァーンブーッン」大谷の音の違いが飛ばし屋証明

ツインズ対エンゼルス 3回表エンゼルス2死三塁、左越えに今季1号2点本塁打を放つ大谷(撮影・菅敏)

<潜入>

<ツインズ4-5エンゼルス>◇13日(日本時間14日)◇ターゲットフィールド

「The Ohtani」とも言える逆方向への大飛球。エンゼルス大谷翔平投手が、ここまで遠くに飛ばせるのには理由がある。メジャー屈指の打球飛距離の秘密に潜入した。

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大谷のメジャー2年目の第1号は、打球速度111・7マイル(約179・8キロ)、角度31度で飛んでいった。飛距離429フィート(約131メートル)はこの日、試合出場したメジャー打者の中でも3番目で、トップレベルと言える。フリー打撃での大谷のとてつもない飛距離は昨年から全米でも注目され、今季はケガなく順調にいけば球宴のホームランダービー出場も期待される。

ジャイアンツなどで活躍した通算762本塁打のバリー・ボンズや、エ軍で現役のプホルス(通算641本塁打)のような体のごつさはない。どちらかといえば、上半身と下半身の均整が取れた体形。それでも大谷が軽々とボールを飛ばせる秘訣(ひけつ)は、強い体幹と後ろ足の蹴りにあった。

昨年までエ軍で三塁ベースコーチを務め、フリー打撃でも打撃投手として大谷を見てきたディノ・イブル氏が証言する。「大谷は体幹が非常に強く、後ろ足(左足)のキック力も強い。だから体の回転が速い」。

強靱(きょうじん)な体幹と後ろ足のキック力のコンビネーションが、大谷のスイングスピードの速さと力強さを生み出しているという。実際、エ軍のコンディショニング強化コーチによれば、チーム内で体幹の強い選手は「トラウトと大谷」。メジャーNO・1外野手と同等レベルと評価されている。

イブル氏は現在、ドジャースで三塁コーチと打撃投手を担う。ド軍には今季、13日時点で打率4割7厘、14本塁打のベリンジャーら飛ばし屋が多くいるが「翔平の方がもっともっと飛ばす」。両者の打撃投手を務めたからこそ、違いがはっきり分かった。

インパクトの強さは音にも表れる。同氏は「言葉ではうまく説明できないけど、『パァーン、ブー-ッン』って。音が(他の選手と)違う」。同氏の言う擬音語を元にすれば、インパクト時は破裂したような音をし、その後、打球が飛んでいく飛球音も鮮明に聞こえると想像できる。それだけスイングスピードが速い証拠。右肘のリハビリ中、バットやボールが使えない時期は体幹強化に努めてきた大谷。日々の鍛錬の積み重ねに、飛距離のカラクリが隠されていた。【斎藤庸裕】

◆大谷の打球データ 今季第1号となった左中間への1発は推定飛距離429フィート(約131メートル)。大リーグのデータ解析システム「スタットキャスト」によると、これは自身6番目。全23本の平均飛距離は414フィート(約126メートル)で、18年以降20本塁打以上記録している選手ではメジャー3位タイ。打球速度は111・7マイル(約179・8キロ)で今季自己最速。これまで打った本塁打の中では4番目。打球角度は31度だった。