菊池雄星と大谷が描く家庭&女性像 未来編/復刻3

「ボールの握り」談議に花を咲かせる菊池雄星(左)と大谷翔平(2013年7月16日)

<2013年7月19日付日刊スポーツ紙面掲載>

メジャーで花巻東高の同窓対決が実現する。

マリナーズは4勝目を目指す菊池雄星投手が先発。エンゼルス大谷翔平投手は3番DHでスタメン出場となり、NPB時代の2017年開幕戦以来、2年ぶりの対決となる。

岩手県で生まれ育ち、花巻東の先輩、後輩の間柄。ともに甲子園で「怪物」と呼ばれた大谷翔平投手(19=当時日本ハム)と菊池雄星投手(21=当時西武)が、2013年7月の球宴前に行われた対談で過去、現在、未来について、本音を語り合っています。 ともにメジャー移籍を果たし、夢の対決を果たしたが、6年前に2人は何を考えていたのか、復刻版で若き日の熱き想いを振り返る。未来編です。

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【未来 ~これからゆく時、将来~】

2人の視線の先には、果てしない夢が広がる。直接対決が「名勝負」と呼ばれる日も来るだろう。

菊池 対戦はしたくないよ。(周囲も騒いで)いろいろ疲れるから(笑い)。でも、そうもいかないから、いい場面で対戦できればね。やっぱり、お互いストレートと分かりながらの勝負。自分も楽しいし、いつか…、ね。大谷が真っすぐが来るだろうなと分かりつつ、オレも真っすぐを投げられるような勝負ができたらなぁ。

大谷 僕は雄星さんと何度でもやりたいですし、何度でも挑戦したいです。どんどん振っていって、でも、また同じ結果にならないように、やっていきたいなと思います。

菊池 今は岸さんとか涌井さんがエースと言われているけど、エースって呼ばれることへの憧れというか、自分も5年、10年後、そういう存在になれたらいいなと思うよ。究極の目標だけど、「雄星のピッチングを見たい」と言って、ファンの方が球場に来てくれるような、そんなプロ野球選手になりたい。

大谷 僕はまずは今年1年、しっかり頑張りたいなと思っています。(巨人の)高橋由伸さんを見てかっこいいな、プロ野球選手になりたいなと思ったので、自分のプレーを見て、(子どもたちが)そう思ってもらえるような選手になりたいです。メジャーですか? 今はまだ次の試合のことしか考えられないですし、2試合、3試合、後のことは考えられないです。それが今の本音です。

青年から大人へ、いずれは結婚や家族ができる日も訪れるだろう。どんな女性と出会って、どんな家庭を思い描くのだろうか。

菊池 早い方がいいとはみんなに言われるから、早く落ち着いた方がいいかなと。早ければ、早い方がいいんじゃないかって思うよ。どんな女性? 野球の話をされるのが一番イライラするので、野球は知らない人、知っていても知らんぷりしてくれる人がいいよね。ほら、オレばっかりしゃべってるじゃん。大谷はどうなの?

大谷 僕はまだ高校を卒業したばかりなので、あんまり考えてないです。僕は今、1人で目標を持ってやってますけど、自分以外の人と一緒にいても、自分は(野球界で)通用するのか。そういう強い気持ちを持ってやれるのかっていうのは思います。やるしかないんですけど…。ゆくゆくは、と思います。

菊池 すごいねぇ。やっぱりしっかりしてるよ。さすがです。

大谷 僕…。そんなに女の人から声をかけてもらうこともないですし…。

菊池 いやいやいやいや。それはないよ! 絶対ない!

大谷 (女性との会話は)得意じゃないので。高校時代も彼女を作るのはダメでしたし、話したのも数えるくらいで。ほんと、クラスメートくらいです。僕は年上の方や子どもたちからは、よく声を掛けてくださるんですけど、あんまり若い方からというのは…。

菊池 ほら、やっぱり、隙がないよなぁ(笑い)。ただでさえ注目されてるし、どこ行っても気付かれると思うから、大変だよね。でも少しゴムを緩めるというか、そういうことも必要だと思うし、タイミングがあれば、そういうことをやってあげたいなと思うよ。 大谷 よろしくお願いします。

菊池 オールスター頑張ろうね。

大谷 はい、今日はありがとうございます。

ガッチリと握手し、菊池は笑顔で部屋を去った。「ふ~」と息を吐いた大谷もまた、笑顔だった。(完)