屈辱登板も大谷は消化、打者視点の評価も/取材後記

オンラインでインタビューに応じたエンゼルス大谷

<深堀り。>

「投手・大谷」に何が起きていたのか-。メジャー3年目を終えたエンゼルス大谷翔平投手(26)。二刀流復活が期待された今季は右肘の屈筋回内筋群の損傷で、わずか2試合の登板に終わった。右肘のトミー・ジョン手術から約1年10カ月ぶりの登板となった7月26日のアスレチックス戦は1死もとれずに降板。8月2日アストロズ戦は2回持たず、被安打0で2失点。右腕の違和感でマウンドを降りた。オンラインでインタビューに応じた大谷の言葉から“あの時”を深掘りした。【取材・構成=斎藤庸裕】

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屈辱的な結果となった登板を、あえてもう1度、語ってもらった。質問の冒頭で大谷は「今更、何かということもないです」とサラリと言った。過去の自分の投球とは既に向き合い、消化済み。2戦の映像も、登板後まもなく確認したという。「感覚と実際にやっている動きのギャップというのは必ず起きるもの。そのギャップを知っておかないと、おかしいことになっちゃうので。(高校時代から)自分の映像とか、何千回と見てきている」。いつも通りのルーティンの一環で、自己分析を終えていた。

二刀流だからこその見方もあった。2試合とも序盤で失点し、「スタートでリードされると、野手をやっていてもきついものがある」と“打者大谷”の視点から“先発大谷”を評していた。ふがいない姿であろうが、目を背けずに振り返る。「結果は結果として受け止めればいいですし、しっかり次につなげられるように。良くても悪くても毎年毎年、そうやってやってきたので」。自分と客観的に向き合い、自分をよく知る-。何事にも通ずる、成長へのプロセスだと感じた。【MLB担当=斎藤庸裕】