マエケン、WHIP歴代2位0・75/データで見る

 

<データで見る:2020ペナント メジャー日本人編>

今季の大リーグはコロナ禍の影響で異例の短縮シーズンになった。レギュラーシーズンは例年、1チーム162試合だが、今年は半分以下の60試合。特別な状況下、日本人大リーガーは9人がプレーした。個人成績で目を引いたのは前田健太(32=ツインズ)のWHIP(1イニングに走者を何人出したか)だ。大リーグ全体トップに立ち、安定を極めた。

WHIPは1・00未満で超一流とされる。前田は0・75。歴代1位の00年ペドロ・マルティネス(レッドソックス=0・74)に次ぐ2位にランクされた。短縮シーズンの記録だけに、規定到達といっても歴代記録と同レベルでは語れない。それでも、しっかり爪痕を残したのは間違いない。

そのペドロ・マルティネス氏(49)が、9月にツイッターで前田を「ボールを持ったフーディーニ(米国で有名な奇術師)」と絶賛していた。ジャストミートを許さない投球は、殿堂入り大投手に奇術と言わせるほど。スライダー(全投球の38・6%)チェンジアップ(同29・4%)を駆使し、バットの芯を外す。速度95マイル(約153キロ)以上の打球は長打になりやすい。大リーグ公式解析システム「スタットキャスト」のハードヒット率を見ると、95マイル以上の打球割合=24・7%は大リーグ全体の規定投球回到達投手40人の中で最も低かった。

被出塁率もビーバー、バウアーのサイ・ヤング賞2人を上回る全体1位。8月18日ブルワーズ戦では8回まで無安打を続けるなど、ツインズ移籍1年目で先発定着を強烈に印象づけた。ドジャース時代は通算34試合のリリーフもあったが、今季の実績なら今後もローテーションの柱になれる。32歳までに日米通算150勝。勝ち星は先発しないと増やせない。こだわる日米通算200勝への道が開けたシーズンになった。【織田健途】(おわり)

【日本人投手トピックス】

田中将大 7年契約最終年。開幕前、キャンプで頭部に打球を受けた影響もあり、序盤は調整登板が続き3勝にとどまる。日本人投手2位の通算79勝(黒田)にあと1勝。

山口俊 開幕から投手が背番号1を背負うのは大リーグ初。デビュー戦と2試合目はともにタイブレークで敗戦投手になった。

菊池雄星 2年続けて防御率5点台も、被本塁打率(9イニングあたりの本数)は1年目の2・00から0・57に良化した。

平野佳寿 ダイヤモンドバックスから移籍。新型コロナ感染が判明し、チームは7月24日に開幕するも初登板は8月22日と出遅れる。

ダルビッシュ有 日本人初の最多勝。サイ・ヤング賞ナ・リーグ2位。8月は月間MVPに輝く。球団114年ぶりにオール1失点以下の7戦7勝をマーク。

【日本人野手トピックス】

大谷翔平 2年ぶりの「二刀流」も初登板の7月26日アスレチックス戦で1死も奪えず5失点。右肘付近の故障が判明し、登板2試合に終わる。打撃も自己ワーストの21打席連続無安打など投打ともに精彩欠く。

筒香嘉智 日本選手5人目のデビュー戦本塁打。出だしは良かったが、2番と9番以外の全打順を打つなど打順を固定されず。規定打席に1打席及ばなかった。ワールドシリーズに代打で出場。

秋山翔吾 レッズでデビューし、日本人大リーガーが全30球団で出場を果たす。9月の月間打率3割1分7厘、月間出塁率4割5分6厘を残し、終盤に適応。ゴールドグラブ賞で左翼の最終候補に入った。筒香、大谷とともに1試合3安打以上(猛打賞)はゼロ。01年にイチロー、新庄が打者で初めて挑戦して以降、短縮シーズンではあるが日本選手がそろって猛打賞なしは史上初めてだった。

◆WHIP(Walks plus Hits per Innings Pitched)1イニングあたりに許した走者数(安打と四球のみ。死球や失策などは含まない)。投手の安定度を示す。(被安打+与四球)÷投球回で求められる。

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