大谷翔平60発ペース「そうなれば」松井どころかルース超えでHR王も視野

3回、右中間へ29号ソロを放つエンゼルス大谷(USA TODAY=ロイター)

<エンゼルス8-7オリオールズ>◇2日(日本時間3日)◇エンゼルスタジアム

【アナハイム(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=斎藤庸裕】初の月間MVPに輝いたエンゼルス大谷翔平投手(26)が、打って走って今季2度目のサヨナラ勝ちに貢献した。オリオールズ戦に「2番DH」で出場し、2打席連発を含む4打数2安打3打点3得点。球宴前の本塁打数は球団新となり、折り返しの前半81試合で30発に到達。1927年に自己最多のシーズン60発を放ったベーブ・ルース超えも見えてきた。9回にはシーズン自己最多タイの12個目盗塁と好走塁で、サヨナラのホームを踏んだ。

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大谷は夜空を見ながら、心地よい大歓声を浴びた。同点の9回2死一塁、今季12個目の盗塁を成功させ、チャンスメーク。4番ウォルシュの右前打で、夢中で走った。相手の前進守備にも「回すしかないのは分かっていた。打球も強かったので、どうかなという気持ちはありましたけど、迷いはなかった」。三塁を蹴り、ホームへ全速力のスライディングで間一髪セーフ。サヨナラの瞬間、勢い余ってあおむけになった。グラウンドに寝ころび、そのまま両手を突き上げた。

興奮状態は続いた。試合後のヒーローインタビュー。「前回は僕が打たれて、みんなが取り返してくれて。今日はなんとか自分が取り返したいという気持ちでいきました」と息を切らして言った。2日前の6月30日ヤンキース戦、2/3回でまさかの7失点。投打で出場しながら1回途中で交代したが、チームは9回に7得点で大逆転。迷惑をかけた分、挽回する-。強い気持ちを持って臨んだ試合だった。

その集中力が結果に表れた。4点を追う3回の第2打席、29号ソロで反撃ののろしを上げ、4回1死一塁の第3打席では一時逆転となる30号2ラン。今季2度目の2打席連発で、日本人野手2人目の30本の大台に到達した。「1つ節目の数字ではあると思うので打てて良かったですけど、トータルで試合を見たときはやっぱり、最後の盗塁と二塁からの走塁の方が価値がある」。劇的なサヨナラ勝ちにつなげた全力疾走。2発に勝る充実感があった。

打席に入れば、今やスタンドからMVPコールが鳴り響く。「素直にうれしい感じで、打ってやろうという気持ちで打席に入れるのですごく有り難い」。5戦6発の量産モードで2位ゲレロ(ブルージェイズ)に3差と、本塁打数ではキング独走状態。「積み重ねてそうなれば一番いいと思いますし、高い目標にはしてるので。ホームラン王争いになってくれば、40本、50本打たないといけない」と話したが、まだ前半81試合の中間地点で30発。04年ヤンキース松井のゴジラ超えどころか、シーズン60発以上のルース超えすら見えてきた。今の大谷なら、決して不可能ではない。

▼大谷が最近15試合で13本塁打を量産し、30号に到達。日本選手のシーズン30本塁打は04年松井秀喜(ヤンキース)の31本に次ぎ、17年ぶり2人目。大谷は今季の10号でリーグトップタイだったが、日本選手が10、20、30のような10本刻みの区切り本塁打に単独で一番乗りしたのは初めて。エンゼルスはチーム81試合を消化し、全162試合の折り返し。シーズンペースは60本となり、史上5人(8度)だけの60号も狙える。