<MLBオールスターゲーム:ナ・リーグ2-5ア・リーグ>◇13日(日本時間14日)◇クアーズフィールド
【デンバー(米コロラド州)13日(日本時間14日)=四竈衛】“ユニコーン”が球宴のルールを変え、球界の常識を変えた-。史上初めてオールスターに「二刀流」として選出されたエンゼルス大谷翔平投手(27)が、「1番DH」としてスタメン出場し、特例として先発投手も務め、2019年の田中将大(ヤンキース)以来、日本人として2人目の勝利投手となった。23年には凱旋(がいせん)試合の可能性も浮上するなど、大谷が名実ともに「メジャーの顔」として認められる球宴となった。
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初めて経験する慌ただしい2日間を終えた大谷の表情は、疲労感以上に、充実感に満ちていた。前日のホームランダービーに始まり、この日は「レッドカーペットショー」、そして史上初となる「二刀流」でのスタメン出場。それでも、大谷は、屈託なく「楽しかった」のフレーズを何度も繰り返した。「多少疲れましたけど、雰囲気自体を楽しめたと思います」。
メジャーのスターが勢ぞろいする球宴とはいえ、間違いなく、スポットライトの焦点は、生ける神話とも言える大谷に向けられていた。試合前、全米野球記者協会(BBWAA)の会合で会見したロブ・マンフレッド・コミッショナーは、深刻なコロナ禍を脱し、回復傾向にあるメジャー球界の貢献者として、真っ先に大谷の名前を挙げた。「信じられないパフォーマンス。球界にとってすばらしいこと。国際的にも貢献している」と、球界の救世主として絶賛した。その後、球場内で行われたリハーサルでは、MVPを大谷として設定。マンフレッド氏がトロフィーを手渡すシナリオまで描かれていた。
本来であれば、個人のためにルールを変更することは簡単ではない。だが、だれもが「二刀流」の難しさを知るだけに、支援する声は後を絶たない。昨季、ナ・リーグのMVPを獲得したフリーマン(ブレーブス)は、高校時代に155キロ近い速球を投げる才能を持ちながら、07年ブ軍にドラフト2巡目で指名された際は、打者専念を通告された。「翔平がやっていることを誰もができるとは思わない。だが、少なくとも二刀流の扉は開かれた」と、子供たちの夢を体現した大谷の功績を力説した。
もっとも、大谷自身のスタンスが変わるわけではない。「日本時代はね…もう、否定的な意見ばかりだったので。(フリーマンは)現役のトップのトップ。そういう選手にそう言ってもらえること自体、すごくありがたいですし、励みになるんじゃないかなと思います」。メジャー球界にも影響を与える存在となったことを証明したのが、今回の球宴。今の大谷は、もはや、期待されるだけの選手ではない領域に入ってきた。日本凱旋が決まれば、必ずや最高のショーになる。
◆過去の大リーグ公式戦日本開催 00、04、08、12、19年の5度開幕戦を行っている。球場はすべて東京ドーム。03年にもマリナーズ-アスレチックス戦が予定されたが、イラク戦争の情勢悪化によりに中止された。初開催は00年にソーサを擁するカブスとボビー・バレンタイン監督のメッツが対戦。00年以外は日本選手が出場し、04年は松井秀(ヤンキース)がデビルレイズとの2戦目に2ラン。08年は松坂(レッドソックス)が開幕投手を務め、岡島が勝利投手に。イチロー(マリナーズ)は12年開幕戦で5打数4安打、19年には45歳で2試合に先発出場し、引退を表明した。