小泉進次郎氏とレッズ秋山 試練の年の終わりに願い/横須賀会談・上

対談する小泉進次郎氏(右)とレッズ秋山(撮影・菅敏)

小泉進次郎衆議院議員(40)とレッズ秋山翔吾外野手(33)による2度目の“横須賀会談”が行われた。環境大臣から一国会議員に戻り、政府の環境政策の推進役から退いた進次郎氏と、メジャー2年目は2度の故障もあり、ふがいない結果に終わった秋山。ともに神奈川・横須賀市出身の“同志”が、それぞれの壁と向き会う中で、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷への対処法、日本の未来などについて語り合った。【取材・構成=斎藤庸裕】

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高い志で挑戦を続けてきた2人にとって、21年は試練の年だった。

秋山(以下、秋) なかなか治りづらいケガ(左右の太もも裏痛)の仕方をしましたし、手応えのあるものはほとんどなかった。少ない出場機会は、自分がまいた種として仕方ないと思っていたんですけど、インパクトのあるものを出せなかったですね。

進次郎(以下、進) これが秋山翔吾ですね。手応えのあるものがない1年でしたっていう振り返りをするところ、それをズバッと言う。来年は期待できますね。はい、今日のインタビューは、以上!(笑い)。

秋 毎年、期待されているのに心苦しいですね。

進 きっと、その中でも手応えを感じられるものを探したと思う。私は今年、菅総理を支える立場で、支えきれなかった。その後の総裁選も河野さんを支えたけれども、結果は完敗とも言ってもいい。今は冷や飯を食っていると言われますけど、「苦しい時期ほど支えなきゃ」と、今まで以上に支えてくれる仲間たちの気持ちが本当にうれしい。

西武時代、不動のレギュラーとして戦ってきた秋山の姿は、メジャーでは影を潜める。今、何を感じているのか。

秋 試合に出たい、その飢えはかなり、あります。焦燥感というか、こういうのは過去何年かでは感じたことはなかったので。

進 飢えがあると、頑張れるよね。アメリカでやっていて、なかなか結果が出なくて、ファンの手厳しい言葉とか、耳に入る?

秋 ホームにいる時はそんなに感じないです。まだ僕のことを期待して見ているファンも多いので。ただビジターでは、自分は(ファンから名前を)呼ばれているような感じだったんですけど、味方の選手に後で聞いたら、かなりひどいことを言われていたことはあったみたいです。

周囲の厳しい目は、政治家という立場でも、どこか共通するものがあった。

進 僕は12年前の初めての選挙で、人に会うのが怖くなりましたね。本当に心が折れかけた。自民党に対して、そして世襲に対しての嫌悪感の2つが一気に押し寄せてきて。それが初めての選挙で、街中もう誰も話を聞いてくれないし、ビラも取ってくれない、握手も拒否される、つばを吐かれる、そして、物を投げられる、ど突かれる。こういう日々を過ごしていると、毎日毎日、怖くなるんですよね。逃げたかった。

秋 僕は、自分が英語を理解しきれてないことで助かっている部分もありました。ファンは自分が応援しているチームが勝ってほしいし、仕方ないと思ってますけど、発信の鋭利な感じは、年々、いろんなメディアを通しても感じますね。

ツイッターなどのSNSを通じ、誰もが情報を発信し、自由に意見できる時代。中には心ない言葉を浴びせられることもある。

進 本当に陰湿で容赦ない、こういう時代に入って、大臣の時も何だって批判をされるし、自分は変わっていないのに、変わったように受け止められるし、なかなか思いがうまく伝わらないなと。政治家も人ですから。自分の心の健康を守る意識を持っていないと、やられかねない。これは本当に思いますね。

秋 第三者のフィルターを通さずに言えることって怖いなと思いますね。明るい話題に関してはいいんですけど、結構ネガティブなことになると刺さる。

進 今年の東京五輪は、SNSを通じてのアスリートへの罵詈(ばり)雑言が深刻化したじゃないですか。あれは政治家にとっても人ごとじゃなくて。だから自分の対処として(SNSを)見ない、遮断するときも多い。

秋 怖いもの見たさで(エゴサーチ)してる選手とかも聞きますけど。気にはなりますけど、僕は(ネット上の記事も)ほんと見なくなりました。全くにはならないですけど。

進 やっぱりゼロは無理で、見出しは目に入りますね。でも、それ以上読まない。深入りしない(笑い)。だから人と会うと、「大変だね」とか「大丈夫?」って言われて、そんなにたたかれてるんだな、ということを実感をしたりね。

秋 10褒められても、1刺さること言われると、どっちが印象に残るかっていう感じですよね…。文章として読むと、少ない文字数でも、そこのイメージが残っちゃう。

進 何やっても(マイナスなことを)言われると、萎縮するんですよね。それで批判されないようにすると、どんどん自分が小さくなっている気がする。だから、どこかで割り切って、ネガティブなことに神経を使うより、次につながることに集中するように気持ちを持っていくように意識している。もちろん、違うものは違うって言わなきゃいけない時もありますけど。

(横須賀会談・下へつづく)

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