<MLB労使紛争の争点を探る>
MLBはロックアウトが続いている。分かりにくい今回の論争を「MLB労使紛争の争点を探る」と題し、ニッカンスポーツコムで紹介する。第2回は「ボーナスプール」について。
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メジャーに上がったばかりの若手選手は通常、3年目終了時まで年俸調停権を持っていない(トップ選手の一部は2年目終了時に得る)。このため、活躍しても働きに見合った高額の年俸を受け取ることができにくい。このミスマッチを解消するための仕組みが「ボーナスプール」だ。
各球団が資金を拠出し、活躍した選手にボーナスとして分配する。マイナーから昇格させる代替選手と比べ、勝利への貢献度がいかに高いかという総合指標のWAR(Wins Above Replacement)やMVP、サイ・ヤング賞などの受賞歴を考慮し、上位選手への分配額を決めていく。
資金総額を選手会側は当初の1億500万ドル(約115億5000万円)から1億ドル(約110億円)まで引き下げたが、オーナー側は1000万ドル(約11億円)を提示。両者ともに創設には賛成しているが、金額に10倍もの開きがある。
「ボーナスプール」の用語はこれまで、ドラフトした選手に各球団が契約金などで使える総枠(超過も可能)や、「インターナショナルボーナスプール」として国際FA選手への各球団の契約金総枠などに使われていた。
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MLB担当記者が、ボーナスプールについて話し合った。
記者A「調停前選手のボーナスプール制導入は選手会から提案されたプランですがオーナー側も乗り気のようなので、導入はほぼ間違いなさそうですね」
記者B「若手にとってはうれしいシステムですね。昨季でいえば、新人王に輝いたレイズのアロザレナやレッズのインディアは年俸以外にプール金からボーナスが出るということですよね」
記者C「MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者がオーナー側の案で試算していましたが、昨季にこれが導入されているとしたら、サイ・ヤング賞投手のブルワーズのバーンズは年俸が60万8000ドル(約6690万円)から234万ドル(約2億5700万円)に、MVP投票でエンゼルス大谷に次ぐ得票2位だったブルージェイズのゲレロは63万5400ドル(約6990万円)から184万3000ドル(約2億300万円)になっていたそうです」
記者A「しかしWARは完璧な指標というわけではないし、WARをMLBの正式評価指標として使うことには賛否両論がありますね」
記者B「選手会はbWAR(ベースボールリファレンス版)とfWAR(ファングラフス版)の平均値を使用する案を出していて、オーナー側はfWARを使用することを提案しているようです。提示金額の差だけでなく規定作りに関してもかなりの議論が必要になるのでは。1年前くらいから議論していても良かった」
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次回は「ぜいたく税の基準額」について。