ダルビッシュ3連勝、初回乱れても冷静沈着「かわして、かわして、しっかり7回を投げられた」

今季7勝目を挙げたパドレスのダルビッシュ有(ロイター)

<パドレス4-1ダイヤモンドバックス>◇20日(日本時間21日)◇ペトコパーク

パドレスのダルビッシュ有投手(35)が20日(日本時間21日)、本拠地でのダイヤモンドバックス戦に先発し、7回4安打1失点と好投し、3連勝で今季7勝目(3敗)を挙げた。

初回に失点したものの、その後は速球とスプリット主体の配球で無失点。パ軍の連敗を3で止め、ナ・リーグ西地区首位のドジャースにゲーム差なしに迫った。

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終わってみれば、誰もが立ち上がりの不安感を忘れてしまうほど、ダルビッシュの104球は地に足が着いていた。初回、4番打者までの間に1点を先行された。直後は四球、死球で2死満塁のピンチを招いた。それでも、最後は155キロの速球で空振り三振。辛くも最少失点で切り抜けたとはいえ、3アウトまでに33球を費やした。

本調子には程遠く、若かりし頃のダルビッシュであれば、その後も力任せに突き進んだかもしれない。だが、百戦錬磨のエースは沈着冷静だった。軸球カットボールとスライダーでカウントを整えると、速球、スプリットをミックス。イメージの強い「横」ではなく、「縦」の変化で相手打者の目線を操った。「真っすぐでガンガンいったわけではない。かわして、かわして、しっかり7回を投げられた」。同点に追い付いた2回以降は連打どころか、三塁すら踏ませず、3点のリードを保って救援陣にマウンドを託した。

心身の充実度は、マウント上だけに限ったことではない。「父の日」を迎えた前週の遠征には、中学を卒業した長男が同行。古巣シカゴでは、試合前に長男がマスグローブらと繰り返す真剣なキャッチボール、ブルペン投球を静かに見守るなど、父親の存在感を背中で示していた。

3連敗で戻った本拠地初戦。序盤に球数を要しても、エースとして早期降板するわけにはいかなかった。「(直前の3連敗は)先発が早い回で降板。その意味では褒められるが、自分の投球に関しては褒められない」。卓越した投球技術を持つダルビッシュが、もはや目の前の白星だけで、満足感に浸ることはない。