吉田正尚トンネル抜けた先に1イニング2発離れ業、休養中も微調整欠かさず「出口」見いだした

<ブルワーズ5-12レッドソックス>◇23日(日本時間24日)◇アメリカンファミリーフィールド

レッドソックス吉田正尚外野手(29)が23日(日本時間24日)、敵地ブルワーズ戦に「4番左翼」で出場し、初のグランドスラムを含む1イニング2本塁打の離れ業をやってのけた。

8回の第4打席に13試合ぶりの2号ソロを放つと、2死満塁で巡った第5打席に満塁弾をたたき込んだ。1イニング2本塁打は、日本人メジャー初の快挙。スロースタートだったWBCの打点王が、ようやく本来の勝負強さを発揮した。

    ◇    ◇    ◇

振り抜いた刀を右手1本で支え、打球の行方を見守る吉田のシルエットは、第4打席の再現VTRのようだった。8回。逆転に成功し、なおも攻撃の手を緩めない打線は、2死満塁でこのイニング2打席目となる吉田に託した。

救援右腕グエラにカウント0-2と追い込まれながらも、吉田のポーカーフェースは変わらない。鋭い眼光で84・5マイル(約136キロ)の内角スライダーを捉えた打球は、3号グランドスラムとなって右翼2階席へ消えた。直前の打席では、3番ターナーの同点弾に続く、勝ち越しの2号ソロ。76・4マイル(約123キロ)のカーブを右翼席へ運び、3日以来13試合ぶりとなるアーチの感触を思い起こしたばかりだった。

ようやくトンネルを抜けた。仕留めたのは、いずれも内角への変化球。「あそこは、シーズンの最初はゴロや凡打になっていたところ。うまくヘッドが出て、うまく角度もついてきている」。WBCで侍ジャパンの中軸として大会新の13打点を挙げたが、開幕後は不安定な打撃が続いた。11日には右太もも裏を痛め、その後は4試合を欠場した。復帰後も3試合連続無安打と精彩を欠き、打率は1割6分9厘まで下降。19日にはスタメンから外れた。

だが、休養を無駄にしないのが、侍の本分だった。練習では足の位置などの細部を微調整。左方向への打球が増え、前日まで3試合連続安打と「出口」は見え始めていた。「打撃フォームを見直し、少しずつ余裕を持って打席に臨めるようになってきた」。第1打席には、右犠飛で1打点。計6打点の荒稼ぎで、レ軍に貯金「1」をもたらした。

日本人初の1イニング2発の快挙とはいえ、1試合の活躍で満足するはずもない。試合後は、米報道陣に対し、「まだシーズンは始まったばかり。しっかりと準備を続けたい」とコメントした。名門レ軍の4番に座る吉田が、刀を磨き続ける姿勢は変わらない。