<カブス1-4ドジャース>◇6日(日本時間7日)◇リグリーフィールド
【シカゴ(米イリノイ州)6日(日本時間7日)=四竈衛】日本最高峰右腕がメジャーで初勝利を刻んだ。ドジャース山本由伸投手(25)が、今季3戦目となるカブス戦に先発。初回無死満塁は3者連続三振、2回2死満塁も三振とピンチで逆に制圧した。5回3安打無失点8奪三振と好投し、1勝目を挙げた。投手史上最高額となる12年総額3億2500万ドル(約487億円)で移籍した怪腕が、ド軍のエースとしての確かな1歩を踏み出した。
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万感の思いに浸るような空気とは無縁だった。序盤、2度の満塁機を切り抜け、カ軍鈴木も封じた80球。試合後、記念球とスタメン表を手にした山本は、にこやかな笑顔で記念撮影に応じた。「無事、初勝利することができたので、すごくうれしく思います。シーズン始まったばかりなので、勝ち星を1つずつ積み重ねてチームに貢献していけるように頑張りたいです」。喜びに続いた言葉は、今後への気構え。個人的な感激以上に、期待と責任を背負う覚悟が上回っていた。
春季キャンプ以来、グラウンド内外で常に笑みを絶やすことなく、チームへ溶け込んだ。その一方で、調整で妥協することは一切なかった。独自のやり投げ練習にしても、必要とあれば練習後に反復するなど、違和感を払拭するため、愚直なまでに確認作業を繰り返した。遠投だけでなく、無人のブルペンで体重移動チェック、シャドー投球など、ボールを握れば1球たりとも「適当」に投げることなく、自らの体との会話を繰り返してきた。
新人としては異例の12年契約。だが、超高額年俸の重圧を周囲に感じさせることはない。「1試合を大切にすること。その1試合を成功させるために、1日も無駄にすることなくやっていくのが、いい投球にもつながる。ケガなく長いシーズン投げられることにもつながると思います」。渡米後も、専属調理師のサポートを受けながら、リカバリー時にはタンパク質やビタミン、登板直前には炭水化物を摂取するなど、日々の栄養管理を徹底してきた。
目の前の試合で結果を残すためだけではない。その先を見据えるからこそ、次の登板への準備で手を抜くつもりはない。「長くプレーするので、そこももちろん考えますし、目の前の登板についても、全力で考えるという感じです」。こと野球に関しては、独自の「山本ワールド」を持つストイックさは、同僚大谷とも共通する。
メジャー1勝目は、ド軍のエースとしての第1歩。その一方で、試合後、カートに乗せられ、手荒いビールかけで祝福された山本は新人らしさものぞかせた。「何が起こってるか。アッという間で…。何の味か分かんないですけど、ビールだけじゃなかったです」。野球人としてのかたくなさと、人間としての純粋さを持ち合わせた25歳右腕。無限の可能性を感じさせる初白星だった。
▽カブス・カウンセル監督(黒星を喫した山本に脱帽し)「変化球が素晴らしいし、投手として完成されている。効果的な球種が4つもあるから、我々にとって困難。最初の2イニングは彼を追い詰めることができたが、あと1本が出なかった。その後はリズムに乗った感じだった」
▽バーンズ捕手(山本の投球について)「ヨシは素晴らしかったと思う。カージナルス戦でも良いピッチングをしていたし、今日はすごく良かった。慣れてくれば、メジャーで最高の投手の1人だと思う」
▽ロバーツ監督(初勝利の山本について)「スローなスタートだったが、そのイニングの中でダメージを抑える方法を見つけていた。5回80球の時点でも投球は良かった。闘争心にあふれていた」
◆ドジャースが、通算10勝3セーブの右腕コナー・ブログドン(29)をフィリーズからマイナーの左腕と交換で獲得した。