ヤンキース部分オーナーの南壮一郎氏が夢舞台で始球式、大きくそれて「暴投した上で感じたこと」

ヤンキース対ドジャース 始球式を務めたヤンキースの共同オーナーの南壮一郎氏(撮影・藤尾明華)

<ヤンキース-ドジャース>◇8日(日本時間9日)◇ヤンキースタジアム

ヤンキースの部分オーナーを務める南壮一郎氏(47)が、始球式を行った。背番号「55」を身にまとい、思い切って腕を振ったが、ボールは大きくそれる結果となった。

始球式を務めるのは初。「ちょっとアメリカの球に適応するのに困って、ちょっと滑りまして(笑い)。夢のヤンキースタジアムに立たせていただいて、これが1つ新しいスタートになったなら、素晴らしい経験になったんじゃないかなと思います。もう1回投げたいですけど。ここまで滑るとは」と苦笑いで振り返った。

南氏は05年にプロ野球に新規参入した楽天の球団創設メンバーとなり、その後、会員制転職サイトの「ビズリーチ」を創業。現在はビジョナル株式会社の代表取締役を務めている。

昨年4月、ヤンキースの部分的権利を保有する経営パートナーとして迎えられ、今回の始球式が決まると、東京都内で元日本ハムの斎藤佑樹氏(36)と練習に励んだという。始球式を終えると、これまでの経緯を振り返りながら熱い思いを語った。

-かなり練習した

結構、東京で、神宮に屋内の練習ファシリティがあって、斎藤佑樹さんに教えてもらっていたんですけどね。師匠に申し訳ない結果になってしまいましたが、ヤンキースタジアムで投げられたことは一生の宝だし、次があるかどうか分かりませんが、練習を頑張ってみたいなと思います。

-どれくらいの期間、練習を行った

この1、2カ月ですかね。斎藤さんと、斎藤さんのチームの方々に。元々、僕は体育会サッカー部で、マウンドから投げたことがなかったので。1000試合くらいは、球団経営していて、見たことはあったんですが、まさかマウンドから投げるというのはなかったので。いろいろ教わりながら。ただ、ヤンキースタジアムのマウンド、この観衆とプレッシャーは練習できませんでした。次回につなげていきたいと思います。

-あのマウンドは、震えるものか

表現しづらいですよね。いろんな思いが、歩きながら、いろんな方の顔だったり、僕1人でね、今回立たせてもらったというよりは、ヤンキースのオーナーグループに加入させていただいたのは、自分の力だけじゃなくて、50人以上の選手が日本から渡ってきてメジャーで活躍して、そういうものがあった上で、たまたま自分が“Right time”“Right place”で、良いタイミングで今回のお話を頂けたので、数々のメジャーリーガーの皆さん、そして何よりも会社の仲間の顔が頭に浮かんでしまい、ついつい緊張してしまいました。

-背番号55の意味は松井秀喜さんを思って

今回、ヤンキースのオーナーグループに加入させていただく際にも、松井さんに背中を押して頂いたり、やっぱりニューヨーク・ヤンキースの、日本人としての歴史をつくってきた方だと思ったので、松井さんへの敬意もそうですし、今日本人選手がヤンキースにはいないので、自分がマウンドに上がり、55番をまた見せることによって、日本人選手の皆さんがヤンキースに加入してくれるんじゃないかなという思いで、今回選ばせていただきました。

-ヤクルト村上ら、NPBで活躍している選手が球団に来て欲しい

僕は編成には特に関わってはおりませんし、なんの決断に関わることもないですが、思いとしてはメジャーリーグのど真ん中、このニューヨークの、ヤンキース、世界一のプロ野球球団だと思ってますので。このチームで、日本人選手が活躍することによって、1人でも多くの野球少年が、また世界を目指す、大きな夢を志してくれるならば、それは素晴らしいことなんじゃないかなと思います。

-ヤンキースも絶好調。世界一への期待は

オーナーグループに加入して、今年が初年度だと思っていますので。優勝を勝ち取る、松井さんがMVPに、2009年ですかね。ヤンキースにとって、この55番は特別な背番号だと思っていますし、あの優勝、あのワールドシリーズMVPをとった松井さんの背番号を見ることで、またヤンキースが優勝するのではないか、とファンとともに楽しみにしています。

-今回、相手チームでは大谷翔平のプレーを見るのも楽しみか

メジャーリーグファンのプロ野球ファンとしては、大谷さんの活躍というのは同じ日本人としては勇気をいただきますので。世界でも日本人が活躍できるんだ、そういうものって若い日本人の方々がいろんな業界で、いろんな形で世界を目指して挑戦する、そういうシンボルになっているのかなと思っています。新しい時代の日本人、世界でも活躍できるっていうメッセージを彼が伝えてくれていると思っていますので。いち野球ファン、いち日本人として応援したいと思っています。

-前日、ボクシング選手の井上尚弥が球場のスイートルームで観戦していた

大谷選手同様、世界を、心を躍らせるアスリートだと思っていますし、同じ日本人として、まずはありがとうございました、と。毎試合(テレビ中継や現地でも)見させてもらったので。本当にそういう選手が出てくる、ビジネスの世界からも、大谷さん、井上さんのような方々が出てくることによって、日本経済、政治からもそういうリーダーが生まれてくる。いろんな分野で、若い日本人が活躍することが今望まれていると思ってますので。大谷さん、井上さんには一個人として感謝を伝えたいですし、自分自身もこれを1つのスタートとして世界にチャレンジしていきたいなと。今日マウンドに立たせてもらって、暴投した上で感じたことであります。

-チャレンジは自身の人生にとって大事なこと

ありがたいことに、僕は6歳で父親の仕事でカナダのトロントへ引っ越しをして、中学校までカナダで過ごし、日本の高校、大学はまたアメリカということで、毎回毎回、言語が変わりながら新しい自分を作らなきゃいけなかった。その新しい自分を作り変えることこそが21世紀のあり方だと思うので。変わり続けるために学び続けたい。そして新たなスタートをいつでも切れるんだということを今回、僕たちは海外で事業をやっておりませんが、なお一層、世界で活躍したり、世界でみんなで一緒になって、大きな志を持ってチャレンジしたい、そんなことを思った1日でした。