<ドジャース7-6レッドソックス>◇20日(日本時間21日)◇ドジャースタジアム
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=四竈衛、水次祥子】ドジャース大谷翔平投手(30)が、歩くだけでも? 勝利に貢献した。レッドソックス戦に「1番DH」で出場し、4打数1安打2敬遠と新たな形で白星へ導いた。6回にメジャー通算800安打目となる二塁打で得点機の起点となっただけでなく、延長11回には大谷敬遠後の満塁機からサヨナラ勝ち。別格の存在感で敵に重圧をかけ、劇的な後半戦2連勝へつなげた。
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バットを持ったまま、プレー再開を待つ大谷は、状況を正確に把握していなかったのかもしれない。同点で迎えた延長11回裏1死一、三塁。内野手用のグラブを手に、ダッグアウトから歩き始めたレ軍コーラ監督は、マウンド付近に選手を集め、次のプレーについて指示を出していた。途中から中堅に回っていた万能選手のラファエラを内野へ戻す「内野手5人」の緊急態勢。レ軍の狙いは「大谷敬遠→満塁策→2番スミス併殺」のシナリオだった。
ところが、大谷は継投と見込んだのか、ベンチ前で打撃コーチらと次に登板が予想される左腕投手の持ち球などを入念に確認していた。その後、気合十分で打席へ向かおうとしたところ、球審から申告敬遠を伝えられ、予期していなかったのか、一瞬、ズッコけそうな?体勢でストップ。ようやく納得したようにバットを手放すと、ゆっくりと一塁へ向かった。一塁が空いてなくとも、レ軍は大谷と勝負するリスクを回避。その結果、ボールが先行し、スミスのサヨナラ打で勝敗は決した。
たとえ大谷が凡退したとしても、決勝打が生まれたかもしれない。だが2死一、三塁と1死満塁では、相手投手の重圧だけでなく、打者心理にも大きな差が生じる。殊勲打のスミスは試合後、涼しい顔でサラリと言った。「ゴロではなく、ただ打球を上げようとトライしただけだよ」。犠飛を狙った結果が、遊撃の頭上を越える適時打。大谷敬遠の満塁策は間違いなく、分岐点のひとつだった。
2試合連続の逆転劇で連勝を飾ったロバーツ監督は、いつも以上にご機嫌だった。レ軍の大谷敬遠策についても、独特の言い回しで理解を示した。「自分も相手として戦ったことがあるが、球界で打たせたくない選手がいるとすれば翔平。監督とすればベストの選手に打たれるよりも、よく眠れると思うよ」。打席でバットを振らず、歩くだけでも試合状況に影響を与える存在感。走者一塁でも歩かされる打者は、全盛期のバリー・ボンズ以来、めったにお目にかかれない。