鈴木誠也、初PSで「子供に夢を見させる」殊勲の1発「周りに打たせてもらった」家族へ思いも

カブス鈴木誠也(2025年3月16日撮影)

<ナ・リーグ・ワイルドカードシリーズ:カブス3-1パドレス>◇30日(日本時間10月1日)◇リグリーフィールド

【シカゴ(米イリノイ州)30日(日本時間10月1日)=四竈衛】カブス鈴木誠也外野手(31)が、初のポストシーズン(PS)で殊勲の1発を放った。パドレス相手のワイルドカードシリーズ第1戦の5回、左中間へ試合の流れを変える同点の1号ソロをたたき込んだ。カ軍は鈴木に続く連続弾で勝ち越し、8回にはダメ押し点を挙げて先勝。シリーズ突破へあと1勝とした。

   ◇   ◇   ◇

過去3年間、願っても届かなかった舞台に立ち、会心の感触を手にした鈴木は、身震いするかのような感覚のまま、ダイヤモンドを1周した。1点ビハインドの5回、先頭で左中間へ同点ソロを運んだ。「最高でした。鳥肌が立っているというか、シーズン中に感じられない緊張感だったり…」。劣勢ムードを跳ね返す1発を機にカ軍は勝ち越した。今後のシリーズの行方を左右する可能性を含む、値千金の一打だった。

メジャー4年目で初のPS。新鮮な感覚を持つ一方、感慨深い思いを秘め、大舞台に臨んだ。22年、複数球団が争奪戦を繰り広げる中、最終段階でカ軍首脳が鈴木へ伝えた言葉が、鈴木の心を動かした。「今後の3年間で世界一を目指そう」。16年にワールドシリーズを制したカ軍は、その後、大胆な世代交代を進め、当時の主力だったリゾ、ブライアント、バエズらを放出。新加入の鈴木は、新時代の中心的なキーマンとして期待された。

その一方で、過去3年間は、自らの故障、不安定な成績も含め、心身ともに苦渋を味わった。「シーズンを終わってから、(PSは)テレビを見ることしかできなかった。すごく悔しい気持ちでずっといて、今年こうやってチャンスをもらえた」。世界一となった23年WBCにしても、キャンプ中の故障で出場を断念した。ただ、野球選手として、説明のしようもない、幾多のもどかしさを抱えながらも、次なるステージへ、常に顔を上げ続けてきた。

だからこそ、念願の舞台で殊勲打を放っても、周囲への感謝を忘れることはなかった。「今日の本塁打は、本当に自分の力だけじゃない、自分が思っている以上の力が出て、周りのみんなに打たせてもらった本塁打でもあるんで、すごくうれしい」。試合後の公式会見に、鈴木は長男大翔(ひろと)君(3)と一緒に姿を見せた。「子供に夢を見せさせるのも親の仕事でもあるんで…」。ファンだけでなく、家族への思い…。地元ファンの熱狂をよそに、鈴木の口調は、最後まで落ち着きはらっていた。

○…米国流に長男大翔君を伴って公式会見に現れた鈴木は、最後まで相好を崩したまま、質問に応答した。「米国の野球のいいところでもありますし。こうやって記者会見とかで、子供が来るのは(日本では)ないことなので。子供にもすごくいい経験になると思いますし、いい環境だと思っています」。会見後には、大翔君が「Go Cubs Go」と愛唱歌の一部を叫び、地元メディアから喝采を浴びていた。

▼カブス鈴木がポストシーズン(PS)初出場で初本塁打。レギュラーシーズンを4試合連続本塁打で終えてPSに突入したのは80年シュミット(フィリーズ)、85年ブレット(ロイヤルズ)、07年ハワード(フィリーズ)に次いで4人目だったが、PS初戦でも本塁打を放ったのは史上初めて。

▼カブス鈴木がポストシーズン(PS)デビュー戦で本塁打。PS初出場で本塁打を放った日本選手は昨年地区シリーズの大谷(ドジャース)に次いで2人目。この日は大谷も2本塁打を放ち、PSで日本選手2人の同日アーチは初めて。

○…パドレスはタティス、アラエス、マチャドの1~3番トリオが計11打数無安打と沈黙し、カブス投手陣に対し打線全体でも4安打1得点と抑え込まれた。チームはこれまでワイルドカードシリーズに3度進出しいずれも勝ち抜け。カージナルスと戦った20年には黒星スタートだったが2連勝しており、タティスは「もう1度それをやる。僕らは自信を持っている」と話した。

鈴木誠也が同点ソロ、長男と会見「鳥肌が立った。子どもにもすごくいい経験」/一問一答