<ナ・リーグ地区シリーズ:フィリーズ3-5ドジャース>◇第1戦◇4日(日本時間5日)◇シチズンズバンクパーク
【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)4日(日本時間5日)=斎藤庸裕】不屈の二刀流ドジャース大谷翔平投手(31)が、チームの逆転劇を呼んだ。フィリーズとの地区シリーズ(5回戦制)初戦に「1番DH兼投手」で出場。ポストシーズン(PS)初の二刀流で、最速101・4マイル(約163キロ)のフォーシームとカーブを軸にリーグ本塁打王シュワバー、MVP2度のハーパーらを圧倒。6回3安打9奪三振3失点と粘り強い投球で中盤の逆転につなげ、PS初登板初勝利を決めた。9回に登板した佐々木朗希投手(23)は日米通算初セーブを挙げ、初戦をものにした。
◇ ◇ ◇
大谷がベンチをまたぎ、喜ぶナインの先頭に立った。帽子を脱いだまま、大はしゃぎ。7回2死、3番T・ヘルナンデスの3ランで逆転。お祭り騒ぎで迎え入れた。「素晴らしい瞬間。これこそポストシーズンの醍醐味(だいごみ)っていう、そういう瞬間だったかなと思います」。大谷自身は無死一、二塁から見逃し三振で第1打席から4打席連続三振を喫していた。打者で続いた凡退を、同僚にカバーしてもらった。
その流れを引き寄せたのは、投手大谷だった。2回に3点先制されながら、粘った。「試合の行方を決定付ける場面だった」と振り返ったのは5回2死一、二塁。リーグ本塁打王のシュワバーをカーブで空振り三振に打ち取った。捕手スミスのサインと一致した決め球。「自信を持って投げました」と低めのボールゾーンに落とし、ピンチをしのいだ。「味方が反撃に出る、そこまでしっかりと粘れば、必ず勝つチャンスは来る」。力強いガッツポーズでチームを鼓舞し、3回以降、無失点投球を続けたことが、劣勢の展開をひっくり返すきっかけとなった。
PSで自身初の二刀流は、敵地の洗礼から始まった。試合前に大ブーイングを浴びながら、手を挙げて応答した。「いい感じで試合に臨めてたかなと。全体的に楽しめた」。何度も逆境をはねのけてきた二刀流。改めて、投打でプレーを続ける理由を語った。
「できると思っているからだとは思いますけど、それが自分の色であり、自分の強み。(投打の)どちらでもチームにとってプラスになるのであれば、それは自分にしかできない役割だと思うので。それをこなしていくのが今の仕事」
9回2死の第5打席、初球でセーフティーバントの構えで揺さぶり、普段はしない2ボールからのタイムをかけた。その意図は、9回裏の登板への準備が遅れた佐々木のため。最終的に四球を奪い、「監督から時間を稼いで欲しいってオーダーが出てましたし、そういう意味ではいいフォアボールになった」と振り返った。
仮に投手として打たれても挽回できる-。反骨心が強い二刀流エネルギーがこの日、チーム全体に浸透した。敵地から始まった強豪フィリーズとの初戦。シリーズの行方を一気に左右するような、大きな逆転勝ちとなった。
▼大谷がポストシーズン(PS)初登板で初勝利。PSで白星を挙げた日本人投手は今年の山本(ドジャース)以来10人目で、先発では6人目。大谷のようにPS初登板で白星を挙げたのは08年黒田(ドジャース)以来17年ぶり2人目。
▼この試合は佐々木がセーブ。PSで勝利とセーブをともに日本人が記録したのは、13年レッドソックスの田沢、上原以来12年ぶり2度目。この時はタイガースとのリーグ優勝決定シリーズ<6>戦で、田沢は救援勝利。先発勝利とセーブを記録したのは今回が初めて。
○…試合直前のちょっかいは不発だった。敵地シチズンズバンク・パークの人気マスコット「フィリー・ファナティック」は相手選手の集中力を乱すようなパフォーマンスが有名で、大谷もかつて何度も挑発された。この日は、登板準備を終えて三塁側ベンチに戻ろうとする大谷をファナティックが待ち構えていたが、遠目から何やらアピールしていただけで奇襲はなし。プレーボールに備え、守備につくフィリーズ選手の応援に回った。結果、逆転負けとなった。