<ナ・リーグ優勝決定シリーズ:ブルワーズ1-5ドジャース>◇第2戦◇14日(日本時間15日)◇アメリカンファミリーフィールド
ドジャース山本由伸投手(27)は、なぜ敵地で強いのか。日頃の練習から試合を想定した細やかな工夫があった。斎藤庸裕記者がコラム「Nobu’s Eye」で迫った。
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山本が敵地で抜群の安定感を誇るのにも、理由がある。試合前、ブルペンのホームベース両側に引かれた2本の白線。球団スタッフの自作で、山本がストライクゾーンのコーナーをイメージしやすいようにバッターボックスの目安となっている。ブルワーズ側のブルペンは最初から白線が埋め込まれているが、ビジター側には本来は何もない。メジャーでは多くの球場が同様の状況で、ビジター球団の投手にとっては、バッターボックスをイメージしにくく不利となる。
今季から山本のアイデアで、敵地の球場でも即席のラインを作るようになったという。マクギネス投手コーチ補佐は「彼は打席をビジュアル化することを好んでいる。集中力も高まるようだ。とにかく細かいところまで徹底している。本当にすごい」と称賛する。
試合前だけではない。登板間の調整でも敵地の球場でより実戦を想定しやすい形で投球練習を行う。シーズン中の7月26日、レッドソックスの本拠地ボストンで、登板2日前のブルペン投球を行った。その約2時間半前、園田通訳が持ち運び可能なバッターボックスを設置していた。周囲のサポートもあり、持ち味の緻密さが保たれている。
山本は日々の基礎練習1つでも、明確な意図を持って取り組む。「ぼんやりのイメージでいかない。イメージでいくと、ズレだしたり、同じ感覚でやっても、違ったりする」。球の質やボールの軌道、制球の安定感。良しあしの理由を常に考え、具現化する。白線を描くのも、その一環だ。
メジャー2年間、ドジャースタジアムでは6勝5敗、防御率3・38、敵地では13勝5敗、防御率2・11。今年9月6日、敵地ボルティモアでのオリオールズ戦では9回2死までノーヒット投球を続けた。そしてこの日、ポストシーズンでメジャー初の完投勝利を敵地で挙げた。偶然ではない。目立たない、隠された工夫が、必然の結果を生んでいる。