<パドレス1-0ドジャース>◇18日(日本時間19日)◇ペトコパーク
【サンディエゴ(米カリフォルニア州)18日(日本時間19日)=鈴木優】ドジャース山本由伸投手(27)は、7回1失点の力投も実らず、打線の援護なく4敗目を喫した。立ち上がりにソロ本塁打を浴びたが、6球種を交えて8奪三振。今季は1イニング目こそ防御率7・00と高い一方で、2~6イニング目までは同2・45と安定する。元プロ野球選手でオリックス時代に山本と同僚だった日刊スポーツ特任記者の鈴木優氏が、「立て直しの極意」に迫った。
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由伸を見ていて、改めてすごさを感じるのは、思い通りに試合に入れなかった登板でも、ゲームを壊さないところだ。たとえ立ち上がりに失点しても、崩れない。立て直し、試合の流れを引き戻す。今年の由伸の強さは、そこにもある。
本人に、切り替えのコツを聞いてみると、「あんまり特別な考えとかをしている訳ではないですし、いつからできるようになったとかもなく、今それができるようになったとも思ってないんですよね」と話していた。この言葉がいかにも由伸らしい。自分を大きく見せない。特別な武器のようにも語らない。だがそこに本質があるのだと思う。
こうも言っていた。「良い時のピッチングも悪い時のピッチングも紙一重だと思うんです。点を取られていても、運が悪いヒットだったり、ほんの少しだけ外れて四球になるとか。逆にすごくいい当たりをされても正面でアウトになる時もある。だから結果だけを気にしすぎないようにはしています」。結果だけに感情を持っていかれない。1点取られても、必要以上に自分を否定しない。逆に抑えていても、慢心することもない。淡々と次の1球に入れる理由がここにある。
もう1つ、大事なことがあった。「結果として3失点と5失点は全然違うじゃないですか。その場その場に集中して最小限で抑えることが、その後の展開にしても自分の成績的にも大事になってくる。そこはたくさん失敗の経験もしてきましたね」。私はこの言葉に、日本時代からタイトルを総なめにしてきた由伸の成熟を感じた。失点したかどうかではない。1点で止めるのか、2点で踏みとどまるのか。それ以上の失点を喫するのか。試合は全く変わる。悪い流れの中でも、ダメージを最小限にできる投手がエースだと、由伸は知っている。
この日のパドレス戦でも、1回に2番アンドゥハーにソロ本塁打を浴びたが、その後は無失点を続けた。感情を浮き沈みさせず、結果に振り回されず、試合の中で立て直していく。その冷静さは、積み重ねた経験の強さなのだと思う。完璧ではない日でも、最後には試合をつくる。そこに今の由伸の本当の価値がある。