<パイレーツ9-8ドジャース>◇10日(日本時間11日)◇PNCパーク
【ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)10日(日本時間11日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、102球の力投も実らず、7勝目はならなかった。敵地パイレーツ戦に「1番DH兼投手」で出場。6回2/3で6安打を浴び、今季ワーストとなる4失点(自責点3)。防御率は今季初めて1点台を超え、1・06となった。規定投球回到達まではあと1人、届かなかった。チームは救援陣が踏ん張れず、逆転負けを喫した。
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5点リードで7回2死一二塁、投げ切るまであと1人。大谷の気持ちは揺れていた。2番ラウに投じた最初の3球は全てボールの判定。そのうち2球は、ギリギリでストライクゾーンをかすっていた。頭をポンポンとたたけばABS(自動ボール、ストライク判定システム)によるチャレンジとなるが、自粛。不利なカウントになり、4球目の直球を右翼線へ運ばれた。
「気持ちは(頭の方を指さして)ここら辺まではいったんですけど、基本的には捕手がやる方針。相当自信がない限りはやらないんですけど、状況が状況だったので、やっても良かったかなとは。今思えばそういう感じですね」
後悔先に立たず…。前向きなコメントが大半の大谷が振り返る内容としては珍しかった。一方で、試合後の囲み取材での表情は終始明るく、ABSの話題には笑顔で応答した。
伏線は直前の打者への1球目にあった。外角スプリットが外れ、捕手ラッシングがABSチャレンジを要請したが、失敗した。次に失敗すれば、権利が消滅する。紙一重で、迷いが生じていた。人間だからこその心の揺れ動き。これが勝敗を分ける要因となった。
二刀流の真骨頂は、ここからだった。規定投球回に到達まであと1死で降板し、流れも変わった。今季ワースト失点でふがいなく、悔いの残る形で降板。救援陣が逆転され、まさかの展開にも打者大谷は動じなかった。3点差の9回1死一塁、左腕ソトの初球を捉え、中越えに豪快な12号2ランを放った。「自分のピッチングがどうのこうのというよりか、勝つチャンスがまだある状況。ランナーをためてつなぎたい」。その不屈のメンタルが、迷いのないスイングを生んだ。
7回途中102球を投げ、打者でフル出場して9回の第5打席で本塁打を放った。翌日の出場については「僕は出る気でいますし、準備したい」と笑い、ロバーツ監督は打者起用を明言。メジャーリーグで最も美しい景観とされるPNCパークでの3連戦の最終戦。大谷は「きれいな球場だなと。まだ明日もあるので、楽しみたい」と胸を躍らせた。まだまだ底は見えない。二刀流のエネルギーはむしろ、みなぎっている。