末続慎吾に走りを「スピードが出るフォームではない」落第採点されたイチロー氏「僕の人生は…」

イチロー氏の走りを動画で確認する登壇者、左からイチロー氏、永島優美、中山雅史氏、末続慎吾(撮影・山本朝陽)

イチロー氏(52=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が、日米通算708盗塁の走りを陸上の五輪メダリスト末続慎吾に辛口採点された。27日、国立競技場で「イチロー DREAM FIELD DAY」に出席。末続がイチロー氏の走りを10項目で採点し、合格点にぎりぎり足りない59点とした。これにはイチロー氏も、満票に1票足りなかった米野球殿堂入り投票などの出来事を引き合いに出し「僕の人生はちょっと足りない」と苦笑いを浮かべた。

国立競技場の室内練習場で、イチロー氏が本気のダッシュを見せた。「僕はそんなに足が速くない。チームの平均より上ぐらい」。オリックスで95年に49盗塁、01年マリナーズで56盗塁し、日米で盗塁王に輝いた韋駄天(いだてん)にしては、意外な事実を明かした。

末続は、ボルトや芸能人など各分野の走りをガチンコ採点することで話題となっている。「失礼になるので本気でやります」と、忖度(そんたく)抜きの採点を行った。

採点は10項目。

(1)スタート=5点 「僕はスタートめっちゃ悪いんです」とイチロー氏。

(2)前傾姿勢=6点 「前傾姿勢は取れてはいるけど、深くはないという感じ」と末続。

(3)ピッチ=4点 「これ低いですね」と末続。同席した中山雅史氏は「厳しいこと言いますね。本人目の前にしているのに」。末続は「これはでも真面目にいかないと」。

(4)ストライド=7点 「これは高い。少し幅がある」と末続。

(5)腕振り=6点 「ちょっと肩を痛めているっていうのは置いといて、肩の位置がちゃんと後ろにあるというのは腕振りでは鉄則なんです。キープしていて上手」と末続。

(6)接地時間=4点 「接地時間はあんまりないです。面で捉える感じがする」と末続。

(7)蹴り出し=6点 「骨盤がしっかり使えて、後ろにちゃんと出せる」と末続。

(8)フォーム=6点 「悪くないけど、スピードが出るフォームではない」と末続。「うまく体を使っているという印象。移動手段として使っているから『走る』というのとはちょっと違うのかなという印象」。

(9)リラックス度=8点 「痛めてなかったら相当多分速く動くと思います。効率的に動いてるんだろうなと。ここはちょっと印象的だった。ストライドとリラックス度が」と末続。

(10)伸びしろ=7点 イチロー氏は「ちょっと待って、僕52歳だからこの項目おかしい」と笑いながらクレームをつけた。末続は「ざっと走りのを見て、イチローさんは天才ではない。『ここをこうすればいいな』というのも見える。短距離より400(メートル)とか、ロングスプリンターが向いているんじゃないかと」。

60点以上が高得点とされる中、総得点は59点だった。イチロー氏は「なんか僕の人生はちょっと足りないんです。1点足りない(笑い)。殿堂入りの時も1票足りない。銅像建てたら、バットを折られる。あり得ないことが起こるんですよ。だから、全部足りないの。そんなことある? 60点ですごい高得点(という中)で59点」と大笑いすると、会場も爆笑に包まれた。

末続氏は「正確に見させていただきました」と話した後「走りとしては点数としてはですね、地区大会ですね。全国レベルではない。地区大会」と辛口評価を下した。さらに「これちょっとすごいなというところはあったんですよ。ボコボコ(点数が上下)して。スプリンターとして、となると、また話は別」と素質は評価しつつも、温情は挟まなかった。

イチロー氏は、末続の辛口評価が気に入った様子だった。「こんなところで自分の人生を、また痛感するなんて思いもしなかったけど。でも、だんだん年齢を重ねると、周りで厳しいこと言ってくれないから。もう本当にありがたいお言葉を、たくさんいただいた」。日米通算4367安打で日米で殿堂入りしたレジェンド選手には、正当なものであっても、誰もが批判を口にしにくい現状がある。そんな状況を客観視し、裸の王様にならないよう心がけている様子が垣間見えた。【斎藤直樹】

【動画】イチロー氏が本気の走りも落第? 陸上五輪メダリストの末続慎吾さんが本気採点