今季のMLBでは、昨季と比べて極端に成績を落とした選手がいる。昨季60本塁打を放ったマリナーズのカル・ローリー捕手(29)や、メジャー屈指の右腕で昨季サイ・ヤング賞を獲得したパイレーツのポール・スキーンズ投手(24)が、その筆頭。今回はそういった選手たちの不振の要因を探る。【山下翔悟】
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今季不振で最も注目を集めたのはマリナーズの捕手ローリーだろう。昨季メジャー史上7人目のシーズン60本塁打に到達し、捕手とスイッチヒッターの本塁打記録を更新。125打点と合わせてリーグ2冠に輝いた。MVP投票ではヤンキースのジャッジに一歩及ばず2位だったが、60本達成は日米のファンに大きなインパクトを与えた。
だが今季は開幕から不振にあえぎ、8月19日時点で打率1割5分6厘、13本塁打と低迷。規定到達で史上ワーストの打率を残すのではと懸念されたが、同24日に自身初の3本塁打を放つなど、終盤は持ち直した。それでも打率1割7分7厘、23本塁打、OPS・658で、OPS・948を記録した昨季の数字とかけ離れている。
その要因を多くの米メディアが分析したが、明確な答えは出ていない。三振の割合は確かに増えているが、スイングスピードも一定で、ゴロとフライの割合もほぼ変わっていない。明らかなのは、きっちり捉えている打球が減り、ハードヒットの割合が低下して本塁打と安打が減っていること。MLB公式サイトも、昨季と大きく変わった部分はなく、シンプルに「タイミング」と「スイング判断」が問題だと指摘している。それだけ打者にとって重要な2項目とも言えるが、わずかな差が超一流と平凡な選手とを分けてしまうのは興味深い。
投手では、パイレーツの怪物右腕スキーンズが大きく成績を落とした。デビュー1年目の24年は防御率1・96で新人王、昨季は防御率1・97でサイ・ヤング賞に輝いた。だが今季は32試合で10勝11敗、防御率3・82。決して悪い数字ではないが、昨季までの成績と比べると本調子でなかったことは明白だ。
この要因として、第一に球速の低下が挙げられている。直球の平均は24年が98・8マイル、昨季は98・2マイルだったが、今季は96・8マイルと1・4マイル(約2・3キロ)も低下した。他には回転数の減少や変化量の減少、コマンドの低下などが影響していると考えられる。
スキーンズは、状態が上がらなかった理由として、今年3月のWBCを挙げた。右腕は米国代表として出場し2試合に登板。今月21日付の地元紙ポスト・ガゼット内のインタビューで「他にもたくさんの要因があるから、すべてをそのせいにするつもりはないが、多少なりとも原因としてあると思う」と語った。「通常なら、あの時期は徐々に調子を上げていく段階で、ペースも少し遅い。ライブBPで、最速を97、次は98、99に上げていくようにね。でも、今年はそうではなかった」と説明。「間違いなく影響していた。残念だが、それは僕だけではないと思う」と、他にもWBCの影響で苦戦している選手がいると指摘した。
スキーンズが言うように、ローリー、さらに今季わずか9本塁打にとどまっているブルージェイズのウラジーミル・ゲレロら不振に苦しんでいるWBCメンバーは確かにいる。ローリーに関しては、マリナーズのホランダーGMもWBCの影響に言及していた。ドジャース山本由伸、フィリーズのクリストフェル・サンチェス、ダイヤモンドバックスのエデュアルド・ロドリゲスら好成績を残した選手もいるが、大谷翔平のように故障で離脱した選手の因果関係も気になる。いずれにせよ、WBCが不振の一因となっている可能性は十分ありそう。スキーンズの発言が次回大会へ影響を及ぼすことも考えられる。