チーム最小兵の「藤浪撃ち」に指揮官もうなった。オリックスのドラフト7位西野真弘内野手(24=JR東日本)がチームただ1人の2安打をマークした。1回は遊撃内野安打。3回も阪神藤浪の直球に力負けせず、二塁手の横をライナーで抜ける右前打だ。

 「背が高くて見上げる感じでした。並んだら自分は胸のマークくらいまでしかないんだろうなと思った。ジャパンにも入ってるし、阪神の中でもエース級。思い切っていくだけでした。びびったら負けなんで」

 身長167センチの西野にしてみればその差約30センチの凸凹対決。4歳上ながら「ルーキーとしてぶつかっていく」と挑み、開幕1軍アピールに成功した。森脇監督も「強い真っすぐを持っている投手に高めの球をあそこにはじき返せるのはなかなかのもの」と評価した。

 背の低いことが悩みだった。中学校では「ジャンプすれば背が伸びるかな」と思い、野球と並行してバスケットボール部に入部。牛乳も毎日飲んだ。中学3年で伸びなくなった。それでも国際武道大時代に「小さければ目立てる」と逆転の発想。当時阪神だった平野恵一のハッスルプレーをテレビで見たからだ。「同じような身長(169センチ)でもプロで中心選手としてやっているのを見て自信を持った」と振り返る。

 打撃を買われてドラフト指名された。侍ジャパンの小久保監督には「バットの出る角度はセンスを感じる」とお墨付きをもらった。キャンプでは壁に当たり、最初の実戦3試合で10打数1安打。「バッティングイップスです…」と漏らした。「深く考えないように」と開き直って復調した。

 「今度は大谷君とも対戦してみたい」と次なる“大物”に標的を定めた。3月に日本ハムとのオープン戦はない。実現させるなら1軍切符が必要だ。小柄なルーキーが、必死に食らいついていく。【大池和幸】