今季限りでの引退を表明している西武森本稀哲外野手(34)が、本拠地のファンに涙で別れを告げた。

 8回の守備から7番右翼で途中出場。その裏に迎えた最終打席では、バッターボックスに入る前からこらえきれずに号泣した。

 1番秋山から始まったこの回の攻撃。打者6人が、脅威の粘りで自分まで打席を回してくれた。三ゴロのメヒアが全力疾走で併殺を免れ、直前の栗山が執念の四球でつないでくれた。その瞬間から、大粒の涙が止まらなかった。3球目を打って三ゴロに倒れたが、球場は大歓声に包まれた。

 試合後に行われた引退セレモニーのあいさつでは「8回の裏、みんなの…」と思い出し、また涙。「ベンチの『ひちょりさんに回せ』という言葉に、本当に感動しました」と感謝を伝えると、仲間からは力強い胴上げで送り出された。

 セレモニーでは西武の同僚の他、日本ハム時代のチームメートもコメントを寄せた。新庄剛志氏(43)は「引退セレモニーなんかしてもらえる選手はほんのヒチョ握りなんで、本人もこんな温かい球団とファンの前で最後を飾れて喜んでると思います! 3年後また監督として西武ライオンズのユニホームを着ますって、こないだチラッと言ってましたよん~」。森本は、メッセージが映し出されたバックスクリーンを満面の笑みで見つめていた。