お風呂、つくってください! 楽天の則本昂大投手(24)が5日、仙台市内の球団事務所で契約更改に臨み、3000万円増の1億5000万円(推定)でサインした。交渉の席では、本拠コボスタ宮城の「ビジター側にも浴槽をつけてほしい」と直訴。入団から3年連続2ケタ勝利を挙げた若きエースが、相手を配慮する異例の要望を出した。

 「(ロッテの)涌井さんが『風呂がないから春先でも寒いよな』と言っていた。いろんな人の意見も聞いた。グラウンドでは敵でも、仲の良い選手もいる。そういう選手の体を考えたら、大事なことだと思う」

 仙台の3月下旬から4月上旬の最低気温は、5度に満たない日も多い。楽天ナインは球場に隣接するクラブハウス内のサウナ付き風呂場で体を温められるが「シャワーだけでは限界がある。ほっともっと神戸は(浴槽が)なかったけど、他の球場にはだいたいある」と話した。思わぬ提案を受けた安部井チーム統括本部長は「今季は間に合わないかもしれないが、今後しっかりと検討したい」と前向きな姿勢を示した。

 相手とのハンディを埋めても、勝てばいい。来季への抱負として「零」と色紙にしたためた。「4年目になるけど、またゼロからスタートしたい。防御率は自分の力で決まるので、2点台前半に持って行きたい」と言った。4年連続の開幕投手についても「投げたい気持ちはすごくある」と意欲を示した。

 プレミア12で味わった悔しさも晴らす。韓国との準決勝は9回に3連打を浴びて降板し、逆転負けを喫した。「なぜ抑えられなかったかを考えて、糧にしなければダメ。結果を残して、後輩から『則本さんみたいになりたい』と言われるよう、人間としても成長したい」。さらなる進化を誓った則本が、ガチンコ勝負でねじ伏せる。【鹿野雄太】