巨人高橋由伸監督(40)が「若葉マーク」を自ら背負い、初々しく宮崎に乗り込んだ。2月1日のキャンプインを控えた1月31日、40代監督が率いるセ・リーグ各球団がキャンプ地に集結した。最年少の高橋監督は、宮崎神宮での参拝後に「私は初心者なので、1つ1つ積み上げていく」とゼロベースに立って出発することを誓った。

 宮崎へ向かう羽田空港、いつもと同じ心境を抱くはずだった。勝利と健康を願う宮崎神宮での参拝、いつもと同じ風景に見えるはずだった。自身、19度目の宮崎春季キャンプ。心模様は、違った。「現役の時と違い、緊張感があるね」。高橋新監督は身が引き締まる思いに襲われた。置かれた立ち位置を自ら示した。

 高橋監督 自分がどのレベルなのか、ここからスタートするから分からない。でも選手は積み上げてきた実績があるから、それを踏まえてキャンプに入る。私は初心者なので、1つ1つ積み上げていく。

 球界の盟主を12球団の監督の中でも最年少の40歳の若さで背負うことになった。昨季まで同僚だったスター選手を統率していくことになる。だが上の立場に立ったからとはいえ、自らを誇大することはしなかった。監督としての力はゼロベースに据えた。

 夕方からのミーティングでも自軍に対して“無色”を強調した。「どのような野球をしていくか、まだ考えていない。誰がレギュラーにふさわしいか、しっかり見極めて勝ちに一番近づける野球をする」。実績は尊重するが、縛られずに勝利を最優先してタクトを振ることを誓った。

 スーツの首もとにはオレンジ色のネクタイが光っていた。「オレンジはあまりしたことがないんだけどね」。球界関係者からプレゼントされたというチームカラーのエルメスのネクタイ。まだ青年監督は何色にも染まっていない。これから戦いの月日を重ねながら、無地のキャンパスをだいだい色に塗っていく。巨人軍を強い決意とともに束ねていく。【広重竜太郎】