札幌ドーム(札幌市)の内野席でプロ野球観戦中にファウルボールが当たり右目を失明した女性が、北海道日本ハムファイターズなど3者に約4650万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁(佐藤道明裁判長)は20日、1審判決から減額し、球団に約3357万円の支払いを命じた。札幌ドームと札幌市への請求は棄却した。

 判決理由で佐藤裁判長は、日本ハムについて「安全配慮義務を尽くしたとは認められない」と認定し、一審に続き損害賠償責任を負うと指摘した。札幌ドームについては「球場が通常有すべき安全性を欠いていたとは言えない」とし、瑕疵(かし)があったとは認めなかった。

 昨年3月の一審札幌地裁判決は、球団のほか球場所有者の札幌市、管理会社の札幌ドーム(札幌市)に計約4190万円の支払いを命じた。3者は判決を不服として控訴した。

 1審判決によると、女性は2010年8月21日、夫や子ども3人と日本ハム対西武戦を観戦していた際、ライナー性のファウルボールの直撃を顔に受け、右顔面骨折や右眼球破裂の重傷を負った。

 1審判決は、内野席前に設置された高さ約2・9メートルのフェンスの上には防球ネットがなく、安全設備が不十分だったと認定。「大型ビジョンなどによる注意喚起だけでは不十分だった。他球場の設備に見劣りしないことを理由に、札幌ドームの現状を追認することはできない」と指摘した。

 さらに「プロ野球が発展するためにも初めて観戦に訪れる者や幼児、高齢者も安全に楽しむことができる安全設備が施されるべきだ」とした。