中日の来季監督に現在、監督代行を務めている森繁和ヘッドコーチ(61)が就任することが28日、分かった。早ければ今日29日に発表される。新監督人事は、1度は小笠原道大2軍監督(42)に内定したが、チーム状態が悪く、立て直しには指導者経験1年では時期尚早との判断で再考された。同2軍監督は1軍ヘッドコーチ格として次期監督への研鑽(けんさん)を積む。

 紆余(うよ)曲折を経て、導かれた結論はベテラン参謀の「続投」だった。森代行の正監督就任が29日にも発表される。

 谷繁元信監督(45)が8月9日に事実上解任されて以降、ベンチをあずかってきた。代行監督として39試合。全日程終了を迎え「前監督から引き継いだが、投打とも、これといったものを出せずに終わってしまった。責任を感じている」と話した。責任は、再び自らタクトを握ることで果たす。すでに球団からの打診に対して承諾している。

 球団は8月から、新体制作りを進めてきた。1度は小笠原2軍監督の昇格で一本化。8月に落合博満GM(62)が同2軍監督と3時間近い会談を行うなど、準備を整えていた。ただ、監督解任後も1軍のチーム状態が一向に上向かなかった。4年連続Bクラス、19年ぶりの最下位に沈んだ。来季への明確な道筋をつけられないまま、シーズンを終える事態になった。

 そんな状態で新人監督にバトンを渡しても、立て直しは難しいのではないか-。複数の代案が持ち上がる中、森代行をワンクッションとして続投させることで最終的にまとまった。04~11年の落合監督時代から長年、投手陣を切り盛りしてきた手腕には異論をはさむ余地がない。ここまでの監督業を振り返り「初めてのことで、野手に関してはこんなに思うようにいかないのかと思った。今までと違うところから見せてもらい、私自身にもいい勉強になった」と話した。

 小笠原2軍監督は1軍コーチに昇格する。ヘッドコーチ格として森新監督を支え、打撃指導にもあたる。指揮官の右腕として1軍監督の心得を学び、将来の「禅譲」という流れになりそうだ。球団80周年の節目に地獄を見た中日。森-小笠原のタッグで再出発する。

 ◆森繁和(もり・しげかず)1954年(昭29)11月18日、千葉県生まれ。駒大高-駒大-住友金属。駒大時代の76年にロッテのドラフト1位指名を拒否。住友金属から78年ドラフト1位で西武入団。現役時代の成績は344試合57勝62敗82セーブ、防御率3・73。83年最優秀救援投手。89~99年に西武コーチ。00年から日本ハム、横浜コーチを経て04~11年に中日で落合政権の参謀となる。12、13年に評論家となり14年中日復帰。10、11、14~16年はヘッド。今季は谷繁監督の代行を務めた。182センチ、85キロ。右投げ右打ち。