あるぞ、即戦力5人オール1軍キャンプ! 阪神金本知憲監督(49)が29日、甲子園の秋季練習で指導した後、ルーキー軍団を来季Vへの刺激剤に指名した。育成指名を除けば、高校生は1人だけ。残り5人は大学生、社会人で即戦力の期待も大きく、5人全員を来春1軍沖縄キャンプに参加させるプランも浮上した。

 金本監督は即答した。3日前のドラフト会議で指名した高校生はわずかに1人。残る5人は大学生と社会人だ。ズラリと並んだ即戦力ルーキーは来年2月、1軍キャンプメンバーに選ばれる可能性はあるのか? 指揮官は「連れて行かなあかんね。見たいのもあるし」と切り出し、5人全員が沖縄に向かう可能性についても「人数を見ながら、やね」と含みを持たせた。

 中でも興味深いのはドラフト3位指名の立大・熊谷敬宥内野手(21)、同4位指名した上武大・島田海吏外野手(21)の俊足コンビだ。熊谷は50メートル5秒8、島田は5秒75。島田に至っては中学時代に陸上100メートルで陸上男子の桐生祥秀に先着したこともある。「やっぱり2人、足が速いからね。足で売っている選手…江越とか(植田)海とかは刺激になるんじゃないかな」と競争激化を期待する。

 今季のチーム盗塁数は70。セ・リーグを2連覇した広島は112盗塁だった。ルーキー2人が機動力アップに貢献すれば、一気に戦い方の幅が広がる。「足が速いからといって、まったく打てないとか守れない選手を出すわけにはいかない」とも強調したが、2人も1年目から積極的に競争に参加させていく方針だ。

 とはいえ、指揮官いわくプロの練習量とアマ球界のそれとでは「全然違う」。まずは1月新人合同自主トレに入るまでの2カ月間が重要。そこで金本監督は新たな作戦もイメージする。「練習とかトレーニングのビデオを見せてもいいよね。連続ティーとかロングティーとか、打撃練習を何時間やってとか」。DVD版“虎の巻”を授けるプランも浮上。悲願のV奪回へ、フレッシュなルーキー軍団も土台強化に投入する。【佐井陽介】

 ▼阪神の新人5選手が春季1軍キャンプスタートとなれば、01年の6選手(投手=藤田太陽、伊達昌司、内野手=沖原佳典、藤本敦士、梶原康司、外野手=赤星憲広)以来となる。01年の6選手は、平成に入って以降最多。