来年が楽しみな150キロ競演だ。阪神2年目の望月惇志投手(20)とルーキー才木浩人投手(18)が30日、みやざきフェニックス・リーグの最終戦の楽天戦(宮崎市清武)に登板。先発望月が自己最速タイの155キロの速球を主体に4回を0封すると、才木も自己最速に1キロと迫る152キロの速球で1回をピシャリと抑えた。金本監督も来季1軍戦力と大きな期待。2人はこの日発表された秋季安芸キャンプメンバーにも名を連ね、進化の秋に挑む。

 ストレートがうなりを上げた。1回1死一、三塁で望月が楽天西田に投じた3球目。球場に響きわたった激しい捕球音の直後、バックスクリーンにある球速計は「155」と点灯した。4球目はファウルにされたが、またしても155キロを計測。今年3月の教育リーグでマークして以来、自己最速タイ。2年目右腕が宮崎でのフェニックス・リーグ最終戦で光り輝いた。

 望月 ストレートがシュート回転して、左打者に甘く入ったところを打たれた。ちょっと力が入りすぎていた。もっとボールの質を上げないと。

 ただ本人に笑顔はなかった。6安打中、田中に3安打されたことを厳しく自己採点した。だが再三走者を背負っても要所を締め、託された4回を無失点。6個の三振も奪った。楽天ベンチからは「真っすぐが速い」「フォークが(思った以上に)落ちている」などと降参の声も出た。高橋2軍投手コーチも「(初回)いきなり(田中に)三塁打を打たれたけど、ゼロに抑えられたことは評価できる。ゴロアウトが多かった。彼のいいときのバロメーターだね」と評価した。

 1年目の16年は10月1日の最終巨人戦で中継ぎデビュー。最速153キロで甲子園を沸かせて1回を0封し、福原忍の引退試合勝利に一役買った。今季は腰痛などに悩まされ、1軍登板は0。だが鍛え直した肉体はもう万全だ。

 155キロもすごいがまだ20歳で伸びしろたっぷり。この日は18歳の才木も最速152キロを出して1回を0封し、矢野2軍監督に采配2戦目で初勝利をプレゼントした。宮崎から700キロ以上も離れた甲子園で快投を伝え聞いた金本監督も頬を緩めた。「何とか才木や望月を(来年は)1軍で働けるようにしたい。望月は体ができてきたからスキルアップになってくる」。11月2日から、高知・安芸で秋季キャンプがスタートする。そのメンバーに望月も才木も入った。猛虎待望の速球派右腕はどこまで進化するのか。来季1軍戦力へ150キロ右腕を鍛える秋が始まる。【山川智之】

 ◆望月惇志(もちづき・あつし)1997年(平9)8月2日生まれ、神奈川県出身。横浜創学館で甲子園出場はなかったが、ドラフト4位で阪神入団。16年最終戦で1軍デビュー。昨秋に右肩痛を発症。今季の1軍登板はなし。189センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸500万円。

 ◆才木浩人(さいき・ひろと)1998年(平10)11月7日生まれ、神戸市出身。須磨翔風で甲子園出場はなかったが「藤浪2世」の異名も取った。16年ドラフト3位で阪神入団。今季終盤に1軍昇格、初登板でホールドなど2試合に登板した。188センチ、79キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸600万円。