阪神金本知憲監督(49)が日刊スポーツの新春インタビューで熱い意気込みを明かした。3年の複数年契約を結んだ「真意」やFA補強に動かなかった「理由」など、自らの信念を激白。若手育成に手応えを感じつつ「広島ですら、10年かかることを5年でやってやる」と猛スピードで常勝軍団を築くことを誓った。

 -就任3年目のシーズン。ホップステップジャンプで言えば、どの段階か

 金本監督 まだレギュラーさえ決まっていないから。今年の春のキャンプが終わるまでは、どうやって戦うのかは見えてこない。

 -打撃面の数字が各部門で向上した。外国人が30発打てば、チーム150本塁打も見えてくるのでは

 金本監督 いってほしいけどね。(広島が)152本。でも甲子園は差し引かないといけない。

 -今オフの動向を聞きたい。日本ハム中田をFA補強するという報道が盛んだった。実際に補強を考えことはなかったのか

 金本監督 ないね。外国人の関係とか若手にポジションをね。育てて勝つのが大前提にあるので、基本的に消極的だった。

 -足りない所を補強すると言っていた

 金本監督 去年糸井を取ったように取る時は取りますよ。就任の時から常々、若手に言っている。「チャンスはやる、ダメなら補強する」。中谷が出始めてその前は高山。大山もね。芽を摘むわけにはいかない。

 -補強に動かなかったのは、中谷や大山の存在が大きかったのか

 金本監督 大きいね。野手のレギュラーが鳥谷以降はゼロの状況があった中で、作っていくのがあった。

 -監督の立場では、補強の誘惑があるのでは

 金本監督 そりゃ、簡単じゃん。簡単ですよ、補強して勝つのは。でもチーム改革、変革にはならない。なぜ僕が就任したかというと、そこを任されているわけだから。だからこそ、小野や青柳を辛抱強く投げさせた。そこらへんを(選手も)理解してほしい。

 -就任から監督がブレないことを大事にしている

 金本監督 僕がブレたら選手もブレる。コーチもブレる。一貫して、就任した時と志は変わっていない。

 -それだけ層が出てきた

 金本監督 そこらへんの底上げは出てきたけど、まだまだ大山も中谷も高山もレギュラーではない。

 -3年契約を結んだと聞いたが

 金本監督 契約年数は秘密よ。

 -5年のスパンで、骨太なチームを作る考えか

 金本監督 広島を例にとると、ドラフト制度が始まって、10年後(75年)に初優勝している。そこからカープの強い時代が続いた。FA、逆指名があって、その制度は06年が最後かな。ちょうどそこから、10年で優勝している。サシになるとカープは強い。スカウティングから練習方法から教育から。僕の中ではそれを半分の5年でやりたい。

 -高い目標だが

 金本監督 広島ですら、10年かかることを5年でやってやる。だから、厳しくもなるし、取り組む姿勢もメンタルなこともうるさく言う。技術的なことも、練習量にしてもね。選手は(自分で)やりませんから。

 -逆指名撤廃後の07年ドラフトで広島は丸や安部を獲得した

 金本監督 時間がかかるんですよ。それを何とか半分でやり遂げたい。でも、(優勝は)できるだけ早くね。とりあえず勝つ、優勝する。毎年が勝負ですよ。

 -新外国人ロサリオは監督自身が注目していた

 金本監督 注目していたよ。外国人スカウトの評価も高かったし。

 -評価のほどは

 金本監督 長打力はね。チャンスでケース打撃をする。三振だけはいけないと、逆方向にバットをポンと置いて、ヒットにしたり。バットに当てる技術を持っている。まさに僕がやりたいこと。自分がやってきたことだ。三振だけはしない。何かしよるみたいな。どうにかバットに当てて、1点取るとか。それができるタイプと聞いている。

 -4番で固定できる

 金本監督 いいんじゃないかな。

 -来季、セ・リーグは激戦になるかもしれない

 金本監督 それは毎年どこも一緒だと思う。今年、うちが2位になれたのは、リリーフと気持ちのおかげ。メンタル。ピリッとした雰囲気があったから。【取材・構成=田口真一郎】