3年目の中日小笠原慎之介投手(20)が今季初勝利を挙げた。1回に阪神糸井に逆転2ランを浴びたが、7回を3安打2失点と粘投し白星を手に入れた。昨年は開幕7戦目まで白星がなかった森中日は、今季は7戦目で2勝目をゲット、最下位を脱出した。軸となる左腕の好投が反攻への足がかりになりそうだ。

 初の開幕投手を務めた3年目の左腕が、松坂の日本復帰初先発での黒星ショックを一夜で吹き飛ばした。初回、敵失などで1点をもらい先発マウンドに上がったが、1回1死一塁で迎えたのが阪神糸井。昨季7打数4安打1本塁打と打たれ、今季オープン戦でも2打数2安打と苦手のスラッガーに、初球を右翼スタンドへ運ばれた。

 しかし、そこから粘った。後続のロサリオ、福留を連続三振に仕留め、5回までは阪神打線に二塁を踏ませない投球を披露。6回先頭上本に左前打、糸井に右翼線二塁打を許し無死二、三塁のピンチ抱えたが、ロサリオ以下を3者凡退に打ち取り切り抜けた。

 「変化球が(ストライクゾーンに)入っていたので、その分良かった。(開幕広島戦でも)球は良かった。(この日までに)どんどんよくしようと思っていた」と、小笠原は初勝利を振り返った。6回のピンチも「真っすぐで勝負しないと自分が苦しくなる」と、開幕敗戦以降磨いてきたストレートで危機を乗り切った。チームも最下位を脱出した。

 前日の松坂の日本復帰初先発マウンドは、大阪への移動中で見られなかった。「一緒に練習していると、野球への取り組み方とかがすばらしい。こっちからいろいろ聞いても、細かく教えてくれて、ためになります。これからももっと聞きたい」と、松坂の存在は小笠原の成長を後押ししている。昨年5勝も「まだ(プロとして)スタートできていない」と言い切る左腕。今季2戦目での初勝利は、エースへ進化するスタート地点になった。【伊東大介】