ソフトバンクを支える人々にスポットを当て、随時掲載する企画「支えタカとよ」。今回はヤフオクドームで勝利の試合後に花火を打ち上げる花火師、児島光男さん(55)です。

   ◇   ◇

 ベンチ裏で選手やコーチ陣が歓喜のハイタッチを交わすころ、地上約70メートル、ヤフオクドームの屋根の直下で児島さんたちは1日で最も忙しい時間を迎える。スタッフのGOサインに合わせ、8発の花火をタイミング良く点火。今や恒例となっている儀式で勝利の余韻に花を添える。

 児島さんたちの朝は早い。ナイターでも朝7時には仕込みが始まる。午後になると選手たちが練習を始めるため、万が一のことがあってはならない。「何か物を落としたりするのが一番いけない。そこに神経を使いますね」と額の汗をぬぐいながら児島さんが明かす。仕込みの後は引き揚げ、また試合開始1時間ほど前に長い階段を上がる。そこから試合終了までは、持ち場を離れられないため「延長戦とかはこたえますね」。

 児島さんと父の益男さん(70)を中心に、ドーム開業3年目の95年から花火を上げている。花火師は本来、地上の仕事。最初は仕事場のあまりの高さに「怖かったですよ。さすがに1年くらい続けていると慣れましたけどね」。過酷な仕事だが、何よりうれしいのは勝利の瞬間だ。

 特に優勝の味は格別。「昨年だと、リーグ優勝、CS優勝、日本一と3回ありましたからね」。特別に華やかな花火を用意する場合もあり、無事に打ち上げられたときには疲れを忘れ、達成感に包まれる。今季は何度、勝利の祝砲を上げられるだろうか。球場一高い場所で、選手たちを見守っている。【山本大地】