男のケジメをつけた。横浜(現DeNA)、巨人で活躍したBC栃木の村田修一内野手(37)が1日、栃木・小山市で会見を開いた。NPBの支配下登録期限である前日7月31日までオファーが届かず、NPB復帰を断念。恩義ある栃木のために公式戦最終戦となる9月9日のホーム群馬戦までプレーし、今季限りで現役引退する意向を示した。

 村田らしかった。「来季、NPB復帰を目指して待つ態勢は僕の中ではない」と話したが、会見を通して去就を明言する言葉が出なかった。終盤、来季はユニホームを脱ぐのかと聞かれ、強く、線引きした。

 村田 今日この時点で引退する発言はない。ブレーブス(栃木)のために最後までやる。ともに戦ってきたみんなのため、けじめとしてやる。次、待つということはないのかな。(引退の)2文字は使わない。ここに来ている皆さんにも使ってほしくない。

 約4カ月、無名の同僚たちと同じ夢を追った。9月9日までの最終戦を引退表明した状況で戦いたくない。“現役”として最後まで夢見る若者たちへの轍(わだち)となりたい。リスペクトを払い、2文字はのみ込んだ。

 残された時間。すべてが村田の生きざまになる。代名詞の1発への思いも変化してきた。「長打を魅力、売りとして15年やったが、野球の最大の魅力はホームランという気持ちは最後になって強く分かってきた」。失敗ですら、今はいとおしい。「野球は失敗がある。でも村田のエラー、ゲッツーが見られてよかったと言われる選手になっていきたかった。そういう意味で良かった」と達観している。

 「小3から始めて30年。集大成をお見せできれば。プロになりたい夢を掲げて野球界に飛び込んだ。悔いなくできた。体は万全の状態。良いパフォーマンスをお見せできれば」。最後まで村田修一であり続ける。【広重竜太郎】