メモリアルな試合で、メモリアルなマルチ安打だ。ロッテ藤岡が4回1死の第2打席、右翼線へ二塁打。ドラフト制後、球団の新人では11年伊志嶺以来5人目となる通算100安打とした。「思ったより時間がかかった。1日1本と思ってやっているので」。105試合目の到達にやや悔しさが残るも、101本目はすぐにやってきた。

 岡が15球粘った末に同点打を打った5回、なおも2死一、三塁。追い込まれてから内角へ落ちるフォークに食らい付いた。「(岡)大海さんが粘った流れを、ここで切りたくなかった」。一挙6点を奪うビッグイニングを生み、この右前適時打が決勝打になった。

 ロッテオリオンズ誕生50年目の記念試合でチームは今季50勝に到達。試合前には3冠王3度の落合氏が登場し「神主打法」を披露した。貫禄を目の当たりにし「大きいのが打てて率も残せる、偉大な方。まだまだですけど、そういう人に近づけるように努力していきたい」。全試合出場中のルーキーの当面の目標は、シーズン143試合で143安打。「チームのためのヒットを積み重ねる」と話す藤岡が球団史に名を刻んだ節目の快音に、東京ドームを埋めた4万3284人がわいた。【鎌田良美】