八戸学院大(青森)のプロ注目左腕、高橋優貴(4年=東海大菅生)はプロ10球団24人のスカウトの前でまずまずの投球を見せた。最速152キロの直球は144キロ止まりだったが、積極的に内角を突く投球で8回9安打8奪三振2失点と粘り、開幕戦を勝利で飾った。リーグ新記録の10連覇を狙う富士大(岩手)はノースアジア大(秋田)に勝利した。

自分に注がれる視線を感じながら、高橋は思い切り左腕を振った。強気に内角をえぐって、最後に必殺スライダーを投じれば、相手のバットはかすりもしない。大学ラストシーズンを迎えたプロ注目左腕は堂々と8回2失点に抑え、好発進を決めた。「絶対にプロに行くという気持ちでやっている。まずは優勝すること。全勝で勝つ」。みなぎる力が今までとは違う。

勝つために「剛腕」を捨てた。今までは最速152キロの直球で押しまくる投球が軸だったが、今春からは制球を重視する。この日、DeNA河原隆一スカウトのスピードガンでは最速144キロを計測。かつての剛速球をセーブし、今夏から内角を突きまくる新境地を、プロ10球団24人のスカウトの前で披露した。高橋は「今までは内角にしっかり投げきれなかった。いいボールは春以上にあった」と胸を張った。河原スカウトも「今日は抑えている。短いイニングなら、もっと爆発的に強い球を投げられる」と高橋の高い潜在能力を評価した。

今春は1勝すれば在学中初の優勝だったが、宿敵富士大との直接対決に3連敗してリーグタイ記録の9連覇を許してしまった。「自分たちには勝ちたいという気持ちが足りなかった。富士大さんの方が上だった」。この日は2回と7回の無死満塁のピンチを硬軟自在の投球で切り抜け、精神的な面での成長をのぞかせた。「速ければ抑えられるものでもない。コントロールも大事」。球速でも、三振でもない。己のスタイルを変えてでも、つかみ取りたいのが悲願の優勝だ。【高橋洋平】

◆高橋優貴(たかはし・ゆうき)1997年(平9)2月11日、茨城・ひたちなか市生まれ。田彦小3年から野球を始め、田彦中では友部シニアに所属。東海大菅生(東京)では1年夏からベンチ入りし、3年夏に西東京大会準優勝。八戸学院大では1年春からベンチ入り。178センチ、82キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟。