日本ハムがロッテ23回戦(ZOZOマリン)に3-2で競り勝ち、7月20~22日ソフトバンク戦(札幌ドーム)以来となる同一カード3連勝。今季ロッテ戦のシーズン勝ち越しを決めた。栗山英樹監督(57)は球団史上歴代3位の通算500勝に到達。勝負どころのリクエスト要請で1点を死守し、最後は捕手3人を使い切った決死の用兵で勝ちきる“らしさ”が詰まった試合運びで、節目の白星を手にした。

2点差をはね返しての逆転劇。栗山監督が手にした500勝目は、ハラハラドキドキ、野球の魅力が詰まった試合となった。「オレは関係ないだろ」と強がるのは、照れ隠し。「選手たちが奪った500勝なので、500回も勝利を見させてもらったことに感謝しています」。真っ先に選手への感謝を口にするのが、なんとも栗山監督らしい。就任した12年から6年半で積み上げた数々の白星が、胸を占めた。

序盤は初対戦となる高卒2年目右腕・ロッテ種市の投球に、攻略の糸口をつかめなかった。耐えて迎えた0-2の7回だ。2四死球で1死二、三塁と好機を広げ、西川の左犠飛で1点…のはずだった。ロッテベンチが「三塁走者のスタートが早かった」とアピールし、判定は一転、アウトに。栗山監督は、すかさず動いた。リクエスト要請でリプレー検証の結果「正しいリタッチ」とされ、得点が認められた。左翼を守っていたロッテ清田が飛球を“お手玉”したことから、ロッテベンチが勘違いしたことが原因だったが、正しい規則を理解し実践できる、日本ハムベンチの知性の勝利だった。

決死の用兵で、勝負を決めに行った。8回に同点とし、なお無死一、二塁。犠打で走者を進めるため、ベンチに残っていた最後の捕手、清水を代打に送った。捕手の交代要員は、シーズンに入って外野に専念する近藤しかいなくなった。「何度も言うけど、やり切るしかないので。出せる力は出し切って(選手が)いなくなっちゃったら、スミマセンっていうのが自分の感覚」。シーズンも終盤。犠打は失敗に終わったが、瞬間に最善を尽くす、栗山采配の真骨頂だった。

試合後のロッカールーム。ささやかな祝杯を全員で挙げた。主将の中田は「どんな時でも選手を応援する。監督の人間性が500勝につながったんだと思う」と神妙だ。大沢啓二、水原茂に次ぐ、チーム史上3人目の領域に、栗山監督は「500回近く負けて、勉強させてもらっているだけだから」。過去に感謝し、再び未来へ歩き出す。【中島宙恵】

▼就任7年目の日本ハム栗山英樹監督が通算500勝に到達。球団歴代1位の大沢氏は71~72年ロッテ監督を含めると725勝、同2位の水原氏は50~60年巨人、69~71年中日監督を含めると1586勝、同5位の上田氏は74~88年阪急、89~90年オリックス監督を含めると1322勝を挙げている。また08~11年まで4年間指揮を執った梨田昌孝氏は、日本ハムでは301勝だが、近鉄、楽天時代を含めると通算805勝を挙げている。