阪神が7日、オリックスから国内FA宣言した西勇輝投手(27)取りを正式表明した。矢野燿大監督(49)が初めて口を開いて技術面を絶賛。球団首脳も熱烈なラブコールを送った。ソフトバンクも参戦を正式表明し、興味を示す中日とオリックスも含めると4球団争奪戦の情勢だ。阪神は誠意を込め、4年の大型契約を準備。矢野監督の出馬も視野に、交渉解禁日の15日にも即日アタックし、「阪神西」の誕生を目指す。

意中の“恋人”への思いを包み隠さずに明かした。オリックスで通算74勝を挙げた西がこの日、FA宣言した。すばやく反応したのは阪神谷本球団副社長兼球団本部長だ。「ルールを守った上で、できるだけ早くコンタクトをとりたい。誠意を見せて頑張りたい」。シーズン中から熱心に調査を重ねてきたが、晴れてFA戦線への参戦を表明。15日の交渉解禁を待って、速攻アタックを予告した。

今季10勝の西は11年以降、5度の2桁勝利を挙げるなど実績は申し分ない。先発の軸を期待できる右腕について、安芸キャンプで指揮を執る矢野監督も初めて口を開き、高い評価を明かした。

矢野監督 バランスはいいんじゃないか。コーナーを突いて、カーブも投げられて、けん制もうまい。すごく、この球種という感じではなくてインサイドワークというか、そういうバランスがいい印象はある。

今オフの補強戦略で西を大本命に位置づける。昨季はリーグ1位だったチーム防御率3・29が、今季は2位の4・03に後退。先発陣もシーズン終盤は駒不足に陥るなど、ローテーションのやりくりに苦しんだ。谷本副社長は「今年、先発陣の防御率が悪くなったのは去年と違って大きな痛手だった。そこの強化は必須だと思います」と説明。先発防御率は昨季の3・66から4・23まで悪化。立て直しが急務のポジションだ。

他球団の動向も警戒する。谷本副社長は「たくさん来るんですよね?」と言う。オリックスと残留交渉を重ねており、この日はソフトバンクも参戦を表明。中日も獲得に興味を示し、複数球団との争奪戦に発展しそうな情勢だ。阪神は4年の大型契約を用意。ライバル相手に1歩も引かず、熱烈ラブコールを送った。

切り札がある。矢野監督の交渉出馬だ。谷本副社長は「(タイミングが)うまく合えばですけどね」と話し、検討に入る。現在安芸で若虎たちを鍛える真っ最中だが、スケジュールが合い、口説き役としてテーブルに同席すれば、熱意を伝える絶好の機会になる。

西獲得は今オフ最大の補強プロジェクト。熱烈なラブコールで、27歳の実力派右腕を振り向かせにいく。

◆西勇輝(にし・ゆうき)1990年(平2)11月10日生まれ、三重県出身。菰野から08年ドラフト3位でオリックス入団。12年10月8日ソフトバンク戦でノーヒットノーラン達成。今季もチーム最多の10勝、162回1/3。今季年俸は1億2000万円で、オリックス日本人選手ではBランクに該当する4位(いずれも推定)。181センチ、80キロ。右投げ右打ち。