平成の初め、プロ野球界は「西武黄金時代」の真っただ中にあった。森祗晶監督に率いられた1986年(昭61)から1994年(平6)までの9年間で、リーグ優勝8回、日本一6回。他の追随を許さない圧倒的な強さを誇った。今年1月に81歳を迎えた名将が当時を振り返った。


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西武黄金期築いた森氏の思考

<取材後記>

今年7月、ハワイから一時帰国されていた森祗晶さんに話をうかがう機会に恵まれた。取材時間は決まっておらず、時間の許す限り、だった。

大きなテーマは「なぜ、西武ライオンズは強かったのか」。具体的にお聞きしたいことがたくさんあった。森さんは1つ1つ丁寧に答えてくれた。あっという間に2時間が過ぎ、タイムオーバー。聞き足りない点は後日、国際電話でお聞きした。

驚かせられたのは、30年ほど前のことでも細かく、具体的に覚えておられたことだ。負けた時のことや批判された時のことを語る表情は、いまだに悔しそうだったのも印象的だった。勝負師の執念を感じた。

監督在任9年間で8度のリーグ優勝、6度の日本一。昭和から平成にかけ、文字通り「黄金時代」を築き上げた。なぜ、なし得たのか。連載を通じ、森さんの“思考”をお伝えできればと思う。【古川真弥】


90年10月、日本シリーズで巨人に4連勝し胴上げされる西武森監督
90年10月、日本シリーズで巨人に4連勝し胴上げされる西武森監督

◆森祗晶(もり・まさあき)現役時代の登録名は森昌彦。1937年(昭12)1月9日、大阪府生まれ。岐阜高で甲子園出場後、55年巨人入団。V9時代の正捕手で8年連続ベストナイン。67年日本シリーズMVP。74年引退。通算1884試合、1341安打、81本塁打、打率2割3分6厘。78年からヤクルト、西武のコーチを経て86年に西武監督に就任。9年間で8度リーグV、日本一6度。01、02年は横浜(現DeNA)の監督を務めた。正力松太郎賞2度、05年野球殿堂入り。現役時代は174センチ、84キロ。右投げ左打ち。