大リーグで今季登場した「オープナー」について、7月に通算100ホールドを達成したロッテ松永昂大投手(30)がピンポイントな指摘をした。オープナーとは救援投手を初回に使い、上位打線を封じる戦法。15日、千葉・木更津市内でトークショーを終えた左腕は、話題の投手起用を選手目線で切り取った。

「そういうポジションが確立されたら、ホールドも勝ちも付かない。負けしか付かないですよね」

今年レイズがこの作戦を利用し、チーム防御率を劇的に向上させた。だが選手個人で見ると評価が難しい。例えば3者凡退に抑えたとする。7回や8回ならホールドが記録されるだろう。これが初回では、従来の「中継ぎ」の評価が付けられない。

さらに、本来の先発ローテ投手を2番手に持ってくる場合は「クオリティースタート(6回以上、自責点3以内)の資格がなくなる。まず評価基準を変えないとマイナス査定ばかりになる」と分析。日本で導入を考えるなら「査定」は大きな課題になる。

来季から出場選手登録枠が1人増え、より柔軟な起用が可能になる。例として12月11日付の日刊スポーツでは、初回失点の多いロッテに松永の1イニング先発を提案した。「人の走者を背負って投げるより精神的にはラクやと思います。やれと言われたらやります。ただ相手の打線が固定っていうのが条件の1つじゃないですか」と話す。上位が左打者で固まれば有効だが、流動的な打線を良しとするチーム相手には必ずしも優位には立てないと見る。

また立ち上がりが不安定なスターターは、2番手に回っても打ち込まれることもある。初回の防御率重視なら「12球団、クローザーから投げたほうがいい。最後に先発がロング」とも。すべては「もしも」の段階。「でもそういうのが、当たり前になる可能性もある。もうそれを“中継ぎ”と捉えるのかは微妙ですけど」。投手陣の役割は今後、さらに細分化されていきそうだ。【鎌田良美】