異例の超短尺バットで臨む。ロッテ荻野貴司外野手(33)が21日、ロッテ浦和球場で自主トレを公開。

76~77センチの非常に短いバットでフリー打撃を行い、快音を響かせた。昨季までは85センチのバットを短く持って使用。今季はグリップの感覚を得るため、小学校の中学年用のような長さに持ち替えた。

ライナー性の打球を連発する荻野の手には、短いバットが握られていた。「76センチから77センチです。長く持ちたいんで、少し短いバットを作ってもらった。まだピッチャーとやってないから使うか分からないが、試合もこれで行きたいと思っています」。昨季までは85センチのバットを短く持っていた。「短く持っていた時はグリップエンドの感覚がなく、その感覚がほしかった。感覚的な問題ですけど力も入りやすい」と重さは変えず、長さを約8~9センチ短くした。

バットを提供するデサント社の担当者も驚いた。「そんなに短いのは聞いた事がなかったが、昨季バットを短く持っていたことを考えるとありなのかなと。どうしても今までのバットとは、バランスが変わってしまうことだけが心配でしたが『振り抜きやすい』と言っていただいています」と好感触。昨季と同じメープルで、880と890グラムのバットを5本ずつ作った。

一般的にプロは84~86センチ前後が多く、76センチは小学校中学年の児童が使う目安だ。外角球に届くのかという疑問が浮かぶ。荻野は「全然届きますよ。去年短く持っていた時の方が、もっと短かったと思います。初めは感覚が違ったけど、だいぶ良くなってきました」と心配は無用だ。短距離中心の打撃スタイルには変更はない。「大振りにはならない。コンパクトにミートしていきたい」と意気込んだ。

昨季は7月にケガで離脱後、チームも失速した。10年以来の日本一には、1番中堅荻野の定着が欠かせない。「そこを目標に頑張ります。全試合出たい。去年はボール球に手をだしてしまい、四球を取れるところで取れなかった。出塁率を上げて(自己最多盗塁の)26個を1個でも超えたい」。昨季の出塁率は3割3分。短いバットで球を引きつければ、選球眼も上がり、バルガス、レアードが加入した重量打線もより機能する。ロッテ浮上の鍵は、荻野の両手が握る。【久永壮真】

◆バットの形状 公認野球規則では、最も太い部分の直径が2・61インチ(約6・6センチ)以下、長さ42インチ(約106・7センチ)以下と規定されている。プロ野球の選手では84~86センチ前後が平均的。