北海道に全国9番目、東北以北では初の大学女子硬式野球部が誕生する。

札幌国際大学が22日、札幌市内の同大で、女子硬式野球部の創部会見を行った。監督には同大准教授の阿南浩司氏(40)が就任し、20年4月の活動開始を目指す。道内では札幌ホーネッツ・レディース、札幌新陽高に続く3チーム目で、将来的には道女子リーグの開催を見据える。同大は今年で50周年。69年に女子大として開学した実績を生かし、道内女子選手の受け皿、女子指導者育成の面でも、役割を担っていく。

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札幌国際大が、道内女子野球の強化、普及、そして指導者育成と、3つの狙いを持って、女子硬式野球部を旗揚げする。昨秋に構想が浮上し、1月に大学内で発足を決めた。現在、全国大学女子硬式野球連盟の所属は8チーム。全国9番目の大学女子監督に就任する阿南氏は「北海道の女性を中心に、ゆくゆくは全国に踏み出せるようなチームに」と決意を口にした。

同氏は07年まで3年間、立命館慶祥高のコーチを務め、現在は同大で「野球における投球動作の学習法および指導法」について研究。科学に基づいた知識も踏まえ指導に臨む。道内チームが3チームとなることで、新たなプランも検討している。全日本女子連盟理事も務めるアドバイザーの札幌ホーネッツ・レディース高橋一彦部長(52)は「北海道は女子同士の経験値が少ないので、将来的に道内リーグも考えていけたら」と構想を口にした。

関東や関西などでは既に、企業や大学、高校を含めた年間リーグ戦が行われている。現在、道内では札幌ホーネッツ主催で7月に道外チームを招き行う「スイートデコレーション杯」がある。それ以外は練習試合や、道外での全国大会など、遠征に出なければならない。高橋部長は「選手が多いところはBチームも出られるようにすれば、道内での試合数はさらに増える」と、多くの可能性を探す。

部員集めは、5月にも練習会を実施し、新入生だけでなく、在校生の入部希望者にも門戸を開く。17年に創部し、今春全国高校選抜8強の札幌新陽高1期生が、卒業するタイミングでもあり、受け皿となり有望選手流出を食い止める役割も担う。50周年とあり城後豊学長(72)は「女子スポーツ振興のためにやれることを。50年で積み上げたものを女子指導者養成にも広げたい」と言う。クラブ、大学、高校の各カテゴリーにチームができ、道女子硬式野球は、さらなる活性化を図る。【永野高輔】

◆国内の女子硬式野球事情 全国大学女子硬式野球連盟には、尚美学園大、平成国際大(ともに埼玉)大体大、桃山学院教育大(ともに大阪)日大国際関係学部(静岡)至学館大(愛知)環太平洋大(岡山)折尾愛真短大(福岡)の8チームが所属。春秋の年2回開催される同連盟主催の「全国大学女子硬式野球選手権」にはこの8チームが出場し、尚美学園大が春2度、秋5度優勝している。毎年8月に愛媛で開催される「全日本女子硬式野球選手権」は高校、大学、クラブチームの全カテゴリーが集う最高峰の大会で、大学勢では尚美学園大が4度、平成国際大と環太平洋大が各1度優勝。リーグ戦形式では、関東の「ヴィーナスリーグ」、関西の「ラッキーリーグ」などが、シーズン通じて開催されている。プロは日本女子リーグが10年に発足し、4チームが参戦している。

◆札幌国際大 69年(昭44)札幌静修短大として開学。97年に札幌国際大に名称変更し、99年に全学部で男女共学化。09年にスポーツ人間学部、スポーツビジネス学科、スポーツ指導学科を開設。主なOBは吉村紗也香(カーリング)SHOKICHI(EXILE)ら。11年に創部された男子硬式野球部は現在、札幌6大学リーグ2部で、17年秋、18年春に2季連続優勝も、入れ替え戦で敗れ、1部昇格を逃した。札幌市清田区清田1条4の1。城後豊学長。