西武今井達也投手(20)が、令和の完封勝利第1号を飾った。楽天打線を3安打に封じ、9回を130球で投げきった。

プロ3年目で初めて開幕ローテーション入りし、リーグトップに並ぶ4勝目をマーク。平成28年に名門・作新学院を54年ぶりの甲子園優勝に導いた右腕が、新時代でも快投を披露した。チームは貯金を1として、日本ハムと並ぶ同率2位をキープした。

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令和初の快挙を喜ぶと同時に、女房役に気持ちを伝えた。今井は帽子を取って、捕手の森に一礼。固い握手と笑顔にバッテリーで勝ち取った達成感があふれ出た。「いつもよりも達成感がある。やり切った感がある価値ある1勝だと思う」。0を9個並べ、許した安打も3つだけ。新元号初の完封劇はこどもの日。令和時代を担う子どもたちの前で達成した。

楽天打線が初球の直球狙いだった前日の試合を見届け、森との話し合いで序盤は変化球中心で入った。2回に先頭から連続四球で一、二塁としてもそこから3者連続凡退。四球というもろ刃の剣による傷口も恐れず腕を振り、最速153キロの直球にカーブで緩急をつけ、スライダーで泳がせ、チェンジアップで芯を外した。「一番きつかったのは8回」。100球を超え2死から2番藤田に安打を許した。続く難敵・浅村。初球のチェンジアップで一邪飛に打ち取り乗り切った。

オリックス戦(4月13日)後、自己ワースト7失点で2敗目を喫した後、弱点克服を誓った。悩んだ末にトライしたのは、投球動作に入った際、三塁側に1度目を外し、左目だけで捕手を視界にとらえる新フォーム。「キャッチャーを両目で見ない。右目で見ると体が開いてしまうから。開いて横回転になるのが悪い癖だった。自分なりの発想というか考え」。自ら試行錯誤し、目を外すという勇気と決断によって、9回でも149キロの伸びのある直球を投げられた。

リーグトップタイとなる4勝目を挙げ、チームも貯金生活に入った。辻監督は「エースになりたい気持ちがあって投げているだろうし、階段をのぼっている途中」と期待。今井は自己採点を「80点…85点くらいですかね」。伸びしろを残しながら、令和のエースに上り詰めていく。【栗田成芳】