2本のバースデーアーチを愛娘に届けた。西武山川穂高内野手(27)は2回の第1打席、右中間スタンドへ先制ソロを打ち上げた。15日未明に生まれた第1子となる長女へささげるパパ1号弾。1本で満足するはずもなく、6回には低めの球に右膝を着きながらの「卍(まんじ)打法」でパパ2号。山川は「娘の力じゃないでしょうか。いつも以上の力が出た気がします」と思いをバットに乗せた。

94年サッカーW杯米国大会で、ブラジル代表FWベベットがゴール後のパフォーマンスで披露したことをきっかけに、世界的に広まったとされる「ゆりかごダンス」が、ヤフオクドーム三塁側ベンチで再現された。踊る仲間たちから祝福を2度受けた。左翼スタンド応援席に向かって2度の「どすこい!」も決め「ありがたい、みんなでやってくれて」と一緒に分かち合った。

5月9日が予定日だった。そわそわしながら札幌遠征に出発。「どんだけ大きくなるんだろう」と福岡に場所を移した直後だった。3822グラムの元気な姿で誕生。深夜、送られてきた写真を見て思った。「健康であれば、元気であればいい」。前夜、陣痛と闘う最中、膝着き卍打法で打った記念球は、頑張ってくれた真衣子夫人に届ける。

これで12日の母の日弾から3試合5発と量産。2発の誕生弾で昨季から9連敗中だったヤフオクで、昨年5月24日以来1年ぶりの勝利を収めた。しかも16日は夫人の誕生日。「明日1本。打ったらまた1本。そうやって、続けていきます」。もちろん、連日連夜のバースデー弾を打つつもりだ。【栗田成芳】