八戸学院大(青森)が11季ぶり15度目の優勝を果たし、富士大(岩手)の11連覇を阻止した。直接対決2連戦で1試合でも勝てば決まる状況の中、5-3と勝利。1点を先取して迎えた2回裏1死満塁で主将の北畠栞人外野手(4年=弘前学院聖愛)が右越え満塁本塁打を放って、優勝を引き寄せた。

6月10日開幕の全日本大学選手権(東京ドーム、神宮)出場権を獲得し、1回戦で佛教大(近畿学生)と対戦する。

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北畠主将の涙が止まらなかった。9回表、1死を奪った時点で、こらえきれなかった。入学からあと1歩で富士大に阻まれ続けてきたリーグ優勝を手にし「汗を拭いていると、ごまかしたけれど、ばれていました。やっぱり去年も同じ状況から3連敗していたので、頑張ってきて良かったなと思いました」。昨春は「2連戦で1勝すれば優勝」の条件で連敗。同率で並んだプレーオフも敗れた雪辱を果たした。

前夜には、昨年の悔しさをともに味わった前主将の中村晴樹さん(22)から激励電話を受け、背中を押された。「『お前らは必死に練習してきたから勝てるよ。大丈夫』と言ってもらって、すごく力になりました」。2回1死満塁の好機を逃さなかった。167センチ、65キロの細マッチョな体で低め直球を捉えると、今季3本目のアーチ。主将の満塁弾が“富士大戦の呪縛”を解いた。

苦しんだリーグ戦だからこそ、大一番で平常心を貫けた。岩手大との開幕戦で引き分けると、2戦目も終盤に追いつきサヨナラ勝ち。第2週のノースアジア大(秋田)戦も8回に3得点して逆転。巨人ドラフト1位左腕・高橋優貴(22)ら好投手育成に定評がある正村公弘監督(55)も「とにかくみんなに感謝。富士大も含めて、周りが強かったから、ここまで来られた。令和になって流れが変わったかな」。安堵(あんど)の表情で、胴上げは日本一獲得まで持ち越した。

エース右腕・大道温貴(3年=春日部共栄)に加え、5回途中から登板して5者連続を含む7奪三振1安打無失点の左腕・中道佑哉(3年=八戸学院野辺地西)の投手陣も万全。大きな壁を越えた勢いで、全国の頂点も狙う。【鎌田直秀】