日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<09年9月14日付>

チームの6連敗を止めたのは、復活したエースの快投だった。コンディション不良で戦線離脱し、この日のロッテ戦で23日ぶりのマウンドに上がったダルビッシュが、8回6安打1失点で勝利。インフルエンザ感染で大量離脱者が出るなど、停滞していたチームの優勝マジックを18に減らした。「自分たちのできることをしっかりやれば、マジックはゼロになる」。歓喜の最終章のページを開き、23日後、梨田監督の体は宙を舞った。

投球内容も見事だった。久しぶりの公式戦。7月の球宴で打球が直撃し、右肩内出血を負ったのがコンディション不良の一因にもなっており、「ちょっと変化球を投げるのは負担がかかる」と球種も自ら制限して臨んだ。全104球中、宝刀スライダーは3球のみ。直球の最速も146キロ止まりだった。投球フォームも、普段のセットポジションではなく、3年ぶりにノーワインドアップで投げた。それでも「自分にも新鮮さがある」。制限をマイナスにとらえることなく、いつもとは違う投球スタイルを楽しんですらいた。

この日の勝利が15勝目。07年(15勝)08年(16勝)と合わせ、3年連続の15勝以上となった。同記録は、球界で90~93年の野茂英雄(近鉄=4年連続)以来。ダルビッシュ以降、19年の現在まで、達成者はひとりも現れていない。巨人菅野は17年に17勝、昨年は15勝で、今季はここまで5勝。歴代名投手への仲間入りを果たせるか、注目が集まる。