西武の道産子スラッガー戸川大輔外野手(23)が、プロ1号となる同点本塁打を放ち勝利に貢献した。1点を追う5回1死、ロッテ二木の外角低め直球を右翼席に突き刺した。実家は国内外でG1・6勝を挙げた名馬「モーリス」を生産した戸川牧場。球団の育成出身選手としては初の本塁打で、同率首位のソフトバンク、楽天とは0・5差。昨年覇者が手応え十分に上がってきた。

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北海道日高町にある戸川牧場は夫婦で家族経営している。同牧場はG3・2勝馬ダイシンオレンジや、戸川の活躍を願って名付けられ、ホッカイドウ競馬で重賞2勝のサムライジャパン、昨年の兵庫ダービーを勝ったコーナスフロリダなどを輩出した。

長男の戸川はモーリスの母馬メジロフランシスの出産を手伝い、1時間以上かけて立ち上がる瞬間も見届けたという。そんな思い入れのあるモーリスは1歳時のセリは約150万円(税抜き)、翌年の北海道トレーニングセールで1000万円(税抜き)で取引され、決して高額馬でなかった。2歳の新馬戦を勝つも3歳時は4戦0勝と伸び悩み、野球界のトレードにあたる転厩も経験した。いわば遅咲きの名馬。戸川はモーリスが勝った15年マイルCSを父洋二さんと京都競馬場で観戦。「自分も負けないようにしないと。早く大舞台で活躍できるよう頑張ります」と将来に思いをはせていた。