38年ぶりの日本一に輝いた明大ナインは、善波達也監督(52)らに続き、OBでもあるコーチ陣を胴上げに招いた。

軽やかに宙に舞った田中武宏コーチ(58)は「いきなり(森下)暢仁で負けて、どうなることかと思った」と、リーグ戦からの道のりを回想。「ロースコアで持っていくしかない展開が多い中で、打線の北本や喜多も少しずつ状態を上げていってくれた」と総合力での日本一を喜んだ。

187センチと大柄な西嶋一記コーチ(30)も、ナインに「重い!」と笑われながら胴上げされた。横浜(神奈川)では、中日福田らとともに06年春に全国制覇した左腕。明大卒業後は、ドジャースとマイナー契約。帰国後も社会人野球2チームでプレーするなど、異色の経歴を歩んできた。

昨年12月に学生野球資格回復制度研修を受講し、今春に資格回復となった。善波監督も「いろいろな場所でいろいろな人と接してきた選手。そういった経験から学んだことも、学生に伝えていってほしい」と西嶋氏に期待を寄せていた。

この春、就任にあたって「明大野球部に恩返ししたい。大学を卒業してから、海外や国内のいろいろなチームでプレーできた。多くの方に手を差し伸べていただき、現在に至ります。得た経験を、少しでもこれから社会に出ていく後輩たちに伝え、何かのきっかけになってくれたら」と意気込みを話していた。

平日は群馬県内で会社員生活を送り、週末だけ都内の明大グラウンドを訪問。フォーム指導などを通じ、エース森下ら投手陣の底上げを目指してきた。「森下たちには毎週のように宿題を出して、1週間後に感じた微妙なずれを修正していく。その繰り返しでした」。練習に向かう姿勢なども伝えてきた後輩たちの歓喜に、西嶋コーチも笑顔が絶えなかった。