準優勝した佛教大の「ヤギロー」が惜しくも首位打者を逃した。八木風磨外野手(3年=北稜)は大会最多の10安打を放ち、15打数10安打の打率6割6分7厘。

ただ打席数がチーム試合数(佛教大は5)×4の20打席には届かない16だった。

首位打者の明大・北本は13打数7安打の5割3分8厘と八木を下回った。打席数は八木より1だけ多い17。1回戦シードの明大の方が1試合少ないため「16」の規定を満たした。

八木が規定に届かなかったのには理由がある。リーグ戦まではわずか2打席と控えだった。1回戦の八戸学院大戦で俊足とバットコントロールを買われ途中出場すると、2打席目が回ってきた9回裏に逆転の中前2点打。0-3の9回に一挙4点を奪う劇的すぎる逆転サヨナラを呼び込んだ。

ラッキーボーイになっても控えの立場は変わらず2回戦はベンチ。この試合に出ていれば打席数も足りていたかもしれない。だが準々決勝から1番に固定され、4安打、3安打、そして決勝も明大・森下から2安打。あまりの好調ぶりに、大会中にチームメートから「ヤギロー」と呼ばれるようになった。「恥ずかしいです。自分は全然できてないので」

最終回の先頭で左翼線への打球に俊足を飛ばして二塁打。その後生還し、森下から1点をもぎ取った。「優勝できなくて悔しい。最後は意地です。チームとしてここまで来られたのは誇り。(大会で)点を取られても引いてはいけないということを学びました」とミラクル続きの戦いを振り返った。

チュートリアルの2人や、ミキの2人などお笑い芸人を輩出している京都・北稜高校の出身。「これを秋にどうつなげるかです」と3年生のニューヒーローは真顔で決意した。