日刊スポーツ評論家陣が語る「野球塾」は、近鉄、日本ハムを率いてリーグ優勝、楽天でも監督を務めた梨田昌孝氏の登場。交流戦を終えた阪神に新外国人獲得のススメ、セ・リーグに「DH制」導入を提唱した。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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今年の交流戦は、パ・リーグが苦戦するとみていたが、「実力のパ」に変わりはなかった。15年に及ぶ両リーグ対決でセ・リーグが勝ったのは、いまだ09年の1度きりという状況だ。

わたしも日本ハム、楽天監督として交流戦を経験してきた。セ・リーグ相手に貯金ができると踏んでもパ・リーグの他球団はなかなか負けないから差がつきにくかった。

柳田、上林ら主力が故障離脱しても優勝したソフトバンクは強かった。またセ・リーグのなかでは独走気配だった広島が“落とし穴”にはまるのも交流戦の怖さといえる。

阪神の交流戦はロッテに勝ち越してスタートしたが、その後は苦戦した。6連敗を喫してズルズルいきかねなかったが持ちこたえた。最大6の貯金を1まで減らして交流戦を終えた。

セットアッパーで安定感を示したジョンソン離脱が響いた。打球判断が勝敗を左右し、エラー、走塁ミスも目立った。ここは同一リーグ戦の再開までに引き締める必要がある。

「投手力」を押し出せるのは阪神が筆頭。巨人は抑え、広島は先発、後ろともに不安を抱えている。要するに阪神は得点力を上げればV争いに参戦できる可能性が高い。

ここから優勝を狙うには新外国人獲得に踏み切ることだろう。チャンスがあるのに、この機を逃すと、来シーズンの保証がないのが、この世界の常だ。

大山が一、三塁を守れるから、ここは「打てる助っ人」をとって勝負にでるべき。甲子園に詰めかける多くのファンを喜ばせるためにも必要な姿勢だと思う。

また、パ・リーグに負け続けるセ・リーグとしては「DH制」導入を考えるべきだ。このままいくと両リーグの格差はさらに広がっていくことが予想されるからだ。

パ・リーグでは序盤にリードを許しても尻上がりと判断すれば続投で勝機を待つことができる。一方セ・リーグはビハインドの展開になると、代打起用を考えざるを得なくなる。

特に若いピッチャーは長いイニングを投げることで経験になって、パ・リーグは投打に若手が育ちやすい土壌にある。これまでも話し合いが行われているようだが、さらに議論を深めてほしい。