苫小牧駒大の最速154キロ右腕、伊藤大海(3年=駒大苫小牧)が、再び日米決戦に挑む。

2年連続で出場する日米大学野球選手権(16日開幕、愛媛・松山ほか)に向け、10日から神奈川県内で直前合宿に入る。昨年は全5試合中4試合に登板し1勝を挙げたが、チームは米国に2勝3敗と負け越した。日の丸をつけて戦うマウンドで成長した姿を見せ、秋季リーグでの王座奪還、そして来秋のプロ入りへ夢をつなぐ。

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伊藤が3年ぶりに日本で開催される日米決戦で、雪辱を期す。昨年は初戦に3番手で登板し、1回1安打無失点と好投し勝利に貢献した。

幸先よいスタートも2戦目を落とし、初先発の3戦目は3回3安打2失点で敗戦投手となった。チームは2勝3敗で米国に負け越し「今度こそ、日本の勝利に貢献できるように。(米国は)当たり損ねでもフェンス前まで持って行かれる。気持ちで負けない投球をしたい」と意気込んだ。

春の反省を生かす。連覇を狙った北海道6大学春季リーグは、エースとして登板6試合で2勝止まり。チームも4位に終わった。「直球で三振がなかなか取れなかった」と課題を口にした。6月の代表選考合宿も、紅白戦で2回4安打2失点と決して満足いく投球ではなかったが、同代表の野村昭彦コーチ(50)から「左足のステップが少し開き気味」と指摘を受けた。昨秋に左足首を骨折したことも影響しており、伊藤は「左足の出し方を修正したら、去年の感触に近づいた。いい感じでストライクを取れるようになった」と復調への手応えをつかんだ。

日米大学選手権の日本代表は複数の投手で継投する。リーグ戦後は本番での短いイニングの登板を想定し、約20球程度の投球練習でシミュレーションしてきた。さらに週3回、母校駒大苫小牧に出向き、後輩のため打撃投手も務めた。自身が果たせなかった夏の甲子園出場へ全力でサポート。「同じ期間に南大会がある。お互いが、刺激し合えたら」と前を向いた。

今秋ドラフト1位候補の明大・森下暢仁(4年=大分商)らと、再び同じチームで戦う。伊藤も本来は大学4年の年齢だが、再入学しているためドラフトまでもう1年ある。「(6月の)大学選手権を見て、(森下は)昨年よりさらに真っすぐの質が上がっていた。そういうところに追いつき、来年さらに上積みできるように」。世代トップの同僚とともに戦う舞台から、プロの夢も引き寄せる。【永野高輔】

◆日米大学野球選手権 大学野球の日米対抗戦として72年から毎年6~7月に実施。今年で43回目になる。北海道関係では13年の第39回大会に、帯広大谷出身の杉浦稔大投手(当時国学院大、現日本ハム)が出場。昨年は伊藤が初出場し、第5戦で勝利投手になっている。

◆伊藤大海(いとう・ひろみ)1997年(平9)8月31日、鹿部町生まれ。鹿部小2年から野球を始め、鹿部中では函館東リトルシニアに所属。駒大苫小牧高では1年秋からベンチ入りし、2年春のセンバツは、初戦の創成館(長崎)戦で3安打完封勝利。16年に駒大に進学したが、同年10月に退学し17年から苫小牧駒大に再入学。昨年の全日本大学選手権初戦の日本文理大戦では、2失点完投で全国初勝利に導いた。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。