必殺仕事人のように、楽天のおのおのができることを全うした。

8回1死一、三塁から犠飛で均衡を破り決勝点を挙げた浅村。前日は右膝の違和感で途中交代し、今季2度目の指名打者で先発。タイミングに狂いが生じ「ふがいない思いが強い」と打撃でジレンマを抱えながら、より高確率で1点を取る方法にフォーカスした。「どうやったらフライが上がるか、ある程度分かっている。ただ『対投手』となると難しい。今できることを第一に考えて、打てなかったら実力不足と割り切った」。外角低め145キロでもきっちり角度を出し、右翼フェンス手前まで運んだ。

直前のチャンスメークもしたたか。1死から茂木の打球は遊撃正面へ。試合後は自打球の影響で足を引きずっていたが、即座にトップスピードに入った。雨で試合開始が30分遅れ、8回からは再び霧雨。「天然芝の球場で、ただでさえグラウンドが荒れてくる8回。何が起こるか分からないのは、ショートを守る自分が一番分かっている」。ソフトバンク高田がはじいた球が転がる間に、一気に二塁を陥れ、続く島内の内野安打で「犠飛でも1点」の状況をつくりだした。不動のリードオフマンは無安打でもチームをけん引した。

体調不良の岸が2日前に先発を回避しても、代役の釜田が4回無失点の粘投。5回からは充実のブルペン陣がゼロを並べた。1カ月ぶりの3連勝で3位に浮上した平石監督は「今日のことは忘れて、明日は明日」。ソフトバンクとの直近対決は3連戦3連勝の後、3連戦3連敗。再び3タテのお返しを決め、混パを演出する。【亀山泰宏】